アメリカでのデモと暴動の真実とは
Japan In-depth / 2020年6月4日 12時47分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・トランプに黒人差別の実例なし。反対勢力が意図的な政治宣伝。
・黒人の利益を代弁すると称する勢力が、略奪や破壊繰り返す。
・暴動の裏に左翼過激派「アンティファ」の暗躍。
アメリカでの白人警官による黒人容疑者への暴行致死事件を契機とした抗議活動は日本でも大きく報道されるようになった。
「強硬トランプ氏に反発」「首都で平和的抗議に催涙弾」「トランプ氏は挑発的行動」・・・と、いずれも朝日新聞記事の見出しだが、もっぱら非はトランプ大統領にあるという論調も目立つ。
だが現地での実態は異なるようである。各都市でのデモは暴動や略奪となって、一般の商業施設などが大幅に破壊されているのだ。だからトランプ大統領の対応も当然、「法と秩序」の維持のために違法行動を取り締まるという基本線になるわけだ。しかも暴動の背後では暴力革命を唱える過激派左翼組織の動きも明白となってきた。
日本の主要メディアの論調は例によってアメリカの反トランプ・メディアの基調をなぞって、「トランプが悪いから」という浅薄な非難に傾いている。つまりトランプ大統領が黒人差別や貧富の格差を強め、そこにコロナウイルスでのこれまたトランプ政権の誤った対応が加わって、アメリカ国内の分裂を深め、黒人など少数民族の不満を増大したために、こんな騒動が起きるのだ――という趣旨の「人種差別抗議説」である。
▲写真 暴動で被害を受けた教会をホワイトハウスから歩いて訪れたトランプ米大統領(2020年6月1日 ) 出典: White House
ところがいまアメリカで起きていることは上記の推測の構図とは異なる。
まず今回の騒動の契機となった事件が起きたのはミネソタ州、全米でも最もリベラル色、民主党傾斜が強い地域なのだ。そのミネソタ州でふだんから黒人への差別が顕著だったという事実はない。たまたま白人の警官が黒人の容疑者に過剰な力を加えたという犯罪事件だったのだ。
ましてトランプ大統領が就任して3年半、黒人など少数民族を明らかに差別した政策をとったという事実はない。もしあるのならば、提示してほしい。反トランプのメディアがトランプ氏の片言隻句を捕らえて「トランプは黒人を差別している」と断じるだけなのだ。その背景には黒人層は歴史的に民主党支持が多いという事実がある。だから黒人のなかでトランプ嫌いという人は多い。
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