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アメリカでのデモと暴動の真実とは

Japan In-depth / 2020年6月4日 12時47分

かといってトランプ大統領が具体的に黒人差別の法律や条例を作ったという実例はない。むしろ政権の閣僚や枢要ポストに黒人の男女を起用した実例も多い。


ただし一般的には黒人の側に長年、差別されてきたという意識はなお強いから、今回のように「黒人だから虐待された」と思える事件が起きれば、全米の黒人層が過敏に反応する傾向はあるわけだ。1960年代から2010年代まで、その種のトラブルが全米規模に広がる例は多かった。それらの実例は時の政権が共和党か、民主党かの区別もなく、起きてきた。


しかし今回の事件はその黒人容疑者を虐待したとされる白人警察官の行動は犯罪とされ、当人は逮捕され、刑事訴追の手続きがすでにとられた。トランプ大統領もその白人警察官を明確に非難した。だがそれでもいかにもトランプ政権がこの種の黒人虐待を奨励しているかのような抗議の下でのデモや集会が広がるのはたぶんに共和党対民主党、保守対リベラル、そしてトランプ支持層と反トランプ勢力の政治的な対立のためだといえよう。


反トランプ勢力は今回の事件を利用して「トランプ大統領は黒人の差別や虐待を奨励する」という政治宣伝を広めようとするわけだ。


その構図では日ごろからトランプ大統領の動きにはすべて猛反対というトランプ叩きのメディア――ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、CNNテレビがその典型――が率先して、「トランプの人種差別」というイメージを濃縮して拡散してきた。


だがいまアメリカ各地で起きているのは黒人の利益を代弁すると称する勢力が単なる抗議デモだけでなく、違法な略奪や破壊を繰り返すという現象である。一般の商店に侵入し、商品を略奪する。ホワイトハウスのような公共の施設に乱入を図り、警官隊に暴力をふるう。市街にある自動車を破壊し、放火する。そんな無法の破壊行動なのである。


政府当局がこんな違法行為、犯罪行為を放置できるはずがない。どんな政府でも大統領でも自国内の「法と秩序」は守らねばならない。今回の「抗議デモ」が明らかに「無法な暴動や略奪」へとエスカレートしたことは明白だからである。



▲写真 白人警察官に押さえつけられて死亡したジョージ・フロイドさんを悼む壁画(2020年6月1日 ミネソタ州ミネアポリス市)出典: Lorie Shaull


ミネソタ州で白人警官の虐待を受けて死亡した被害者の弟が同州ミネアポリス市の事件現場で周囲の人たちに訴えた言葉には重みがあった。


「みなさんの怒りは理解できる。でも私にくらべれば怒りは半分だろう。それでも私は物を壊したり、地域社会を破壊したりはしていない。なのに、みんななにをしているんだ」


被害者の弟は近くの民衆たちに破壊や略奪を止めることを求めたのだった。彼の言葉にはまちがいなく、今回の騒動の真実が反映されていたといえよう。


まして騒動を起こす側には危険な左翼過激派「アンティファ」の暗躍が目立ってきたのだ。この点についてはまた新たな報告で伝えよう。


トップ写真:抗議する黒人男性(2020年5月26日 ミネソタ州ミネアポリス市) 出典:Lorie Shaull


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