比、違法就労中国人一斉逮捕
Japan In-depth / 2020年6月9日 11時0分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・比で違法就労、コロナ規制違反で中国人90人を逮捕。
・中国人の「逮捕・送還」と「入国」の〝イタチごっこ〟続く。
・比当局は、コロナ入国制限の今が不法中国人摘発の好機と判断。
フィリピン国家警察はルソン島の首都マニラ近郊で不法滞在しながら中国本土の顧客を対象とした「オンライン・カジノ」業に従事するなどの違法就労していた中国人90人などを入国管理法違反とコロナウイルス感染防止の規則違反などの容疑で逮捕したことを明らかにした。
警察によると市民からの情報提供を受けて踏み込んだホテルの複数の部屋で、中国人らはコロナ感染対策で規制されている「密閉空間、密集場所、密接場面」といういわゆる3密状態でオンライン・カジノ業に従事していたという。
5月29日、マニラの南にあるカビテ州バコール市内にあるホテル「バジェット・ホテル」に捜査員が一斉に踏み込んだ。同ホテル周辺の住民などから「外国人が多数出入りしている」との情報提供に基づき、内偵捜査の結果「不法滞在」の可能性が高い中国人多数の出入りが確認されたことを受けての一斉捜査となった。
29日に同ホテルに捜査のため警察官が入ろうとしたところ、見張り役と思われる中国人が気づき、ホテル内の仲間に連絡して多数が逃亡を試みたもののホテルの周囲を固めていた捜査陣によって容疑者ほぼ全員が逮捕されたと、31日に国家警察は地元マスコミに対して明らかにした。
■ 多数のパソコン、携帯電話、現金を押収
国家警察の刑事事件捜査局によると、同ホテルの複数の部屋に長期滞在しながらパソコンを使用して「オンライン・カジノ」に従事していた中国人90人、マレーシア人2人を不法滞在と違法就労の疑いで逮捕した。
またホテルの室内という「密閉空間」に大人数が滞在するという「密集場所」でマスクや十分な距離を保たない「密接場面」でもあったことから、フィリピン政府が進めるコロナウイルス感染対策の規則違反の容疑も持たれているとしている。
同ホテルの複数の部屋を捜索した結果、警察はラップトップのコンピューター50台、携帯電話100個以上を押収するとともに合計530万ペソ(約10万5000ドル)の現金を発見、証拠品として押収したという。
▲写真 6月2日ケソン市での摘発で押収されたコンピューターなどの機器。 出典:National Capital Region Police Office
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