拉致問題を否定した日本人達
Japan In-depth / 2020年6月13日 12時23分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・拉致事件の否定、無視、すり替えをしてきたメディアと政治家。
・横田めぐみさんの弟がそうしたメディアや政治家を非難。
・拉致事件ないがしろにしてきた汚辱の歴史を再考すべき。
北朝鮮政府による日本人拉致の被害者、横田めぐみさんの父、滋さんが亡くなった。
その機に記者会見に応じためぐみさんの弟の哲也さんが長年、同胞の拉致という悲劇を否定したり、無視あるいは軽視してきた日本のメディアや政治家たちを非難した。
この非難を契機にこの国民的な悲劇とも呼べる拉致事件が日本自体の新聞やテレビ、そして政治家や学者によってまで、いかにないがしろにされてきたかという汚辱の歴史を再考すべきである。
その再考の作業では再検証や反省、さらには当事者たちへの謝罪という対応さえ必要だろう。
▲写真 亡くなった横田滋さん(2014年1月30日 在日米大使公邸)出典:State Department photo by William Ng / Public Domain
横田哲也さんは6月9日の記者会見で以下のような発言をした。
「一番悪いのは北朝鮮であることはまちがいないわけでありますが、この拉致間題が解決しないことに対して、あるジャーナリストやメディアの方が『安倍総理はなにをやっているんだ』というようなことをおっしやる方もいます。」
「『北朝鮮問題を一丁目一番地に掲げていたのになにも動いていないじゃないか』というような発言をここ2~3日のメディアを見て、耳にしていますけど、安倍総理・安倍政権が問題なのではなくて、40年以上もなにもしてこなかった政治家や、『北朝鮮なんて拉致するはずがないでしょう』と言ってきたメディアがあったから、ここまで安倍総理・安倍政権が苦しんでいるんです。」
「安倍総理・安倍政権は動いてやってくださっています。なので、なにもやってない方が政権批判をするのは卑怯だと思います。拉致間題に協力して、様々な角度で協力して動いてきた方がおっしゃるのならわかりますが、ちょっと的を射ていない発言をするのはこれからやめてほしいと思います」
この言葉には私自身も胸を衝かれた。私も新聞記者として日本人拉致事件にはさまざまな形でかかわってきた。東京で、そしてワシントンで、さらには北京で、と実際にその事件に関する取材をし、報道もしてきた。そしてわりに早い時期に、日本国民の多数が北朝鮮政府の工作員に拉致されたことは疑いのない事実だとの確信を抱くようになった。
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