比、中国人の誘拐組織を摘発
Japan In-depth / 2020年6月19日 15時11分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・フィリピンで中国人の誘拐ビジネスが増加。
・不法滞在の中国人が中国人を誘拐・拉致。本土の親類に身代金を要求。
・比国内に滞在している中国人の大半が不法入国・不法滞在。
フィリピン警察は6月11日、ルソン島パンパンガ州で不法滞在中の中国人を誘拐して中国本土の親族などに身代金を要求するなどしていた中国人誘拐組織を摘発したが、この際抵抗した中国人2人をその場で射殺したことを明らかにした。
フィリピンではオンライン・カジノや振り込め詐欺などネットを通じた違法就労に多くの不法滞在中国人が関与しており、これまでも多数が検挙されて中国本土に強制送還されているが、誘拐ビジネスを専門とする中国人組織の摘発は最近増えてきたもので、フィリピンを舞台にして中国人があらゆる犯罪に手を染めている実態が明らかになり、警察、入国管理局などは情報収集とともに捜査、検挙をさらに強化して対処しようとしている。
■ 手配車両発見、銃撃戦で2人射殺
マニラ首都圏のパサイ市で誘拐された中国人3人をマニラ北西にあるパンパンガ州で6月1日にフィリピン警察が救出し、その後誘拐犯と一部とみられる中国人2人を6日に逮捕した。
さらに誘拐組織の残るメンバーを捜索していたところ11日午前9時ごろ、同州のアンヘレス市フォレスト・パーク付近で誘拐組織のものとみられる白いバンの手配車両を警察が発見、近づこうとしたところ車内から発砲があり、警察官との銃撃戦となった。
その結果、警察は氏名を公表していないが中国人2人を現場で射殺したことを国営フィリピン通信社などが伝えた。2人は1日に救出した中国人3人の誘拐犯グループのメンバーで所持品としてコルト45拳銃2丁とM4自動小銃が発見、押収されたという。この時の銃撃戦では警察官1人も右脚を撃たれて負傷したものの命には別条がないという。
▲写真 パンパンガ州アンヘレス市。 出典:Flickr ; Blemished Paradise
■ 中国本土の家族に身代金振り込み強要
これまでの警察の取り調べで誘拐された3人はオンライン・カジノなどのギャンブル産業事業体である「フィリピン・オフショア・ゲーミング・オペレーターズ(POGO)」でギャンブルのディーラーとしての仕事を斡旋されてフィリピンンに入国した。
しかし仕事があるというのは虚偽で、中国人が仕切る誘拐組織に中国本土の家族に連絡して「身代金の支払い」を要求することを強要され、抵抗したために身柄を拘束されたという。
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