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対策の手際で別れた明暗ポスト・コロナの「勝ち組」メルケル独首相

Japan In-depth / 2020年6月24日 11時0分

という事態に対して、政府が率直に自分たちの非を認めようとしないことの表れだ、と見る向きが多い(TIMES電子版などによる)。


この点、第一次世界大戦後のハイパー・インフレーションの経験から、財政規律を守ってきたドイツでは、総額7500憶ユーロの経済対策を素早く実施した。さらには日本の消費税にあたる付加価値税の引き下げも発表されている。


彼女はEU統合の旗振り役として、日本でも知られているが、


「国境をなくして行こうというのがEUの理念であったが、新型コロナ禍に直面して、どの国も国境を閉じてしまった」


などと言う人もいるようだ。事実は違う。パンデミック=世界的な感染拡大に直面して、「国内外を問わず」移動の自由が制限されたのであり、EUの理念とは何ら関係がない。


さらに言うなら、南ドイツの病院では、イタリアからの急患を大勢受け入れていた。首相自身が「現状はかろうじての成功」と語っているが、なんとか医療崩壊は免れことも、メルケル首相への支持拡大につながった。


アンゲラ・メルケル首相は1954年、ハンブルク生まれ。


当時のドイツは東西に分断されており、ハンブルクは西ドイツの版図であったが、聖職者だった父親が東ドイツの教会に赴任したのに伴い、生後数週間で東側に移住した。このため現在に至るも「東ドイツ出身」だとされている。


カール・マルクス・ライプチヒ大学(現ライプチヒ大学)で量子力学を先行し、物理学博士号を持つ。ちなみに旧姓はカスナーという。学生時代に結婚し、4年ほどで離婚したが、今も結婚して改姓したメルケルを名乗っている。


「女性、離婚歴、東ドイツ出身という<三重苦>を乗り越えて首相まで上り詰めた」


という評価がよく聞かれるが、これについては、ドイツ出身のコラムニストで、本誌にも執筆しているサンドラ・ヘフェリンさんに解説していただこう。



▲写真 サンドラ・ヘフェリン氏 出典:サンドラ・ヘフェリンTwitter


「ドイツでは、離婚歴なんて誰も問題にしませんよ。不倫した有名人が袋叩きにされる、なんてこともないですし。東ドイツ出身は、まあ当時はハンディだったんでしょうかね。女性ということでは、ドイツは確かにフランスやスウェーデンなんかに比べて、男女平等で後れを取ってます。でも、日本よりはマシですよ」


とのことであった。彼女は『体育会系 日本をむしばむ病』(光文社新書)という本を書いているくらいで、日本の男性社会には人一倍厳しい目を向けているのだが、それを割り引いても、日本で女性がトップに上り詰めるのは、なかなか困難であることは間違いない。しかし、我が国の女性政治家の側に問題がないのかと言われれば、それも違うと私は考えている。小池都知事の問題を中心に、次回詳しく論じるので、乞うご期待。


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