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差別の象徴消しても暴力はなくせない(中編)表現の「浄化」は問題を見えなくする

Japan In-depth / 2020年6月24日 18時0分


▲写真 エイミー・クロブシャー上院議員 出典:Flickr; Gage Skidmore


だが、この「非白人女性に道を譲る」改心も、表徴的に過ぎない。なぜなら、クロブシャー上院議員は検事畑出身であり、無罪である可能性が高い黒人少年を終身刑に追い込む「犯罪に対するゼロ・トレランス」により実績を積んで人気を得た、黒人の敵とも言える人物であるからだ。


2004年当時にミネソタ州の検事であったクロブシャー氏は、11歳の黒人少女であるテイシャ・リン・エドワーズちゃんが銃殺された事件で、当時未成年であった黒人少年のマイオン・ブレル君(現在34歳)を起訴し、彼に対する不利な証言が警察に誘導されたものであり、凶器の銃や指紋、DNAの証拠がなかったにもかかわらず、終身刑に追い込んだ。冤罪の疑いが濃いが、クロブシャー氏の黒人に対するタフな姿勢は白人にウケがよく、彼女は連邦上院議員にまで上り詰めたのだ。対するブレル氏は、今も監獄にいる。


彼女が副大統領候補をあきらめたからといって、黒人が警察や司法に不当な扱いを受ける実態は、みじんも変わらない。


 


表現の「浄化」が目的化する社会


こうした中、米飲料大手ペプシコ傘下の食品企業クエーカーオーツは6月17日、黒人女性奴隷の料理人を想起させるロゴをあしらった「ジェマイマおばさん」のパンケーキミックスやシロップなどが、「人種的ステレオタイプに基づく」と認め、ブランド名を変更すると発表した。


「ジェマイマおばさん」のロゴの変遷


https://logos.fandom.com/wiki/Aunt_Jemima


https://www.nbcnews.com/think/opinion/aunt-jemima-uncle-ben-deserve-retirement-they-re-racist-myths-ncna1231623


現在のロゴは1989年に現代風に改められたもので、「奴隷色」を薄めたものだが、それでも時勢にそぐわないと判断されたようだ。別の米食品大手マーズが販売する「ベンおじさん」ブランドのインディカ米も、同様の理由でブランド変更が行われる。


一方、米一般消費財メーカー大手のコルゲート・パーモリーブは、台湾で傘下企業が「黒人歯磨き粉」の名で販売する「ダーリー」のブランド名やロゴを変更する方向で検討中だ。1933年に発売された当初は、白人が黒人の肌色に顔を塗る差別的なブラックフェイスがロゴになっており、名前はさらに差別的な「ダーキー(真っ黒け)」であった。


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