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差別の象徴消しても暴力はなくせない(中編)表現の「浄化」は問題を見えなくする

Japan In-depth / 2020年6月24日 18時0分

また、黒人の肌の色を含む絆創膏バンドエイドの「多色展開」を発表した米医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が、アジアや中東で販売する肌を白くするためのシミ消しクリームを販売中止することになった。


ちなみに、黒人に関する表現だけではなく、米国民に愛されるアイスの「エスキモー・パイ」のブランド名を、販売元のドレイヤーズ・グランド・アイスクリームが「侮蔑的」だとして名称変更することも発表されている。エスキモーという呼称が、北極圏地域の先住民であるイヌイット人やユピック人に対する蔑称であったことから、長年批判や論議の的となっていた。


加えて、「不朽の名作」とされる映画『風と共に去りぬ』(1939)が、ストリーミングサービスHBO Maxの配信ラインナップから削除された。奴隷制を肯定し、黒人に人間性を認めていないということが理由だ。これに合わせ、各界で表現、慣習を見直す動きも出ている。


また、黒人の呼称として「アフリカ系アメリカ人(African Americans)」あるいは「黒人(blacks)」のどちらが正しいかという議論があり、AP通信や『ロサンゼルス・タイムズ』紙、NBCニュース、BuzzFeedなど大手の米報道機関は、大文字のBを使うBlack表記に移行している。


だが、ここで思い出したいのは、1950年代から1960年代にかけて活動した炎のような舌鋒を持った黒人指導者、マルコムXの考察である。彼は、こう看破した


「白人たちが、博士号を取得した黒人をどう呼ぶか知っているか。『博士号を持ったニガー(くろんぼ)』だ!」


表現を「浄化」する運動は、それ自体が目的化してしまい、「差別表現をなくせば人種問題に取り組んだことになる」というアリバイ作りに終わるだけだ。同時に、人種関係緊張の真の根っこである「白人問題」にスポットライトが当たらなくなる。


(後編に続く)


トップ写真:Juneteenth celebration in Minneapolis(2018) 出典:Flickr; Fibonacci Blue


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