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著名学者のトランプ論を断ず

Japan In-depth / 2020年6月27日 18時50分

いやむしろ大まちがいだろう。どんな世論調査をみても、アメリカ国民の40%から50%近くがトランプ氏を自国の最高指導者として支持を表明しているのだ。日本にとって同盟相手、しかも民主主義や人権という普遍的な価値を共有する相手のアメリカの国民多数が選び、なおいまも支持する大統領をなぜ「米国社会への最大脅威」と決めつけられるのだろうか。


さて以上のような総括を強調する田中明彦氏の記事の他の部分を点検してみよう。同氏はアメリカでの5月下旬から6月にかけての白人警官による黒人容疑者の殺害を契機とした全米各地での抗議のデモや暴動と、それに対するトランプ大統領の対応について書いていた。その内容はとにかく国際政治学者の論文と呼ぶのをためらうほど皮相で浅薄であり、意見の表明の根拠となる事実関係なるものもゆがんでいた。


では田中氏の記事の欠陥を簡潔にあげておこう。


第一には田中氏は今回、アメリカ各地で起きたことをほぼすべて「平和的な抗議行動」と決めつけて、大規模で悪質な略奪や破壊や放火が起きた事実を無視していた。デモには極左の暴力的組織アンティファや警察解体、歴史の偶像破壊の運動が含まれていたことも、また民主党側によるトランプ政権打倒の政治利用の要素も、まったく触れていなかった。


第二には、田中氏はトランプ大統領が暴動の鎮圧に軍隊投入を示唆したことがアメリカの憲法体制や民主主義への危機を生んだと主張したが、まず同大統領は軍隊の投入をしていないのだ。そのうえ大統領が国内の「法と秩序」の保持に軍隊を投入した事例はすでに1992年にもあり、違憲でもなんでもないのである。


田中氏はこうしたゆがんだ認識での「トランプ政権とアメリカ」を描いたうえで、大統領をその社会の最大脅威と決めつけているのだった。


なお田中明彦氏の主張への批判は私はいま刊行された月刊誌Hanada8月号掲載の「メディアが報じないアメリカ黒人暴動の真相」というタイトルの報告記事のなかで詳しく書いたので参照されたい。


トップ写真:田中明彦氏と安倍首相 出典:首相官邸HP


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