丁寧な説明と乱暴な議論 ポスト・コロナの「勝ち組」メルケル独首相 最終回
Japan In-depth / 2020年7月2日 21時57分
しかしながら、統一後30年になろうとするのに、未だに「自主憲法制定」はなされていない。連邦の構成要素などの条文を手直しした(言うまでもなく、旧東ドイツが版図に含まれたので)基本法が効力を保っている。
これには複合的な理由があり、ここで立ち入った議論をする紙数はないが。いずれ憲法問題のシリーズを立ち上げたら、あらためて書かせていただく。乞うご期待。
看板に偽りあり、とならぬように一点だけメルケル首相に言及しておくと、彼女はよく知られる通りEU統合推進派なので、政治統合が進めば、いずれEU憲法ができるので、ドイツ独自の「新憲法」にそれほど重きを置いていないのだと見る向きが多い。
とどのつまり日本における憲法改正論議に、ドイツは参考になどならないのである。
話を戻して、私が安倍首相の改憲論議に一貫して批判的なのは、それが
「改憲論議のための改憲論議」
に堕しているからである。私自身、日本国憲法は一字一句変えるべきではない、という立場ではないのだが、新型コロナ禍までも、自分の手で憲法改正を実現し、歴史に名を残したい、という政治的野心の道具にするような態度には、断じて同調できない。
我々の、国民の命を「政治利用」することなど、許してはならないのだ。
トップ写真:安倍首相と麻生副総理(右) 出典:首相官邸Twitter
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