豪印、反中国の安保協力強化
Japan In-depth / 2020年7月5日 11時36分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・中国の軍事攻勢がインド太平洋地域に緊迫をもたらしている。
・新たな反中国の安全保障協力の絆が強化されるようになった。
・印豪両国、6月上旬に「包括的戦略パートナーシップ」締結。
中国の最近の周辺諸国への軍事がらみの攻勢がインド太平洋地域に緊迫をもたらし、新たな反中国の安全保障協力の絆が強化されるようになった。
とくにインドとオーストラリアの新防衛提携は米国の支援をも得て、同地域の戦略構図をも変えかねない状況となってきた。ワシントンの専門家筋ではこの動きを新しい中国包囲網ともみている。
ワシントンの中国やアジアの安全保障問題の専門家たちの間では、最近の中国の好戦的ともみえる対外軍事行動に新たな警戒が注がれるようになった。
たとえば外交・戦略専門のベテラン・ジャーナリストのファリード・ザカリア氏は6月26日のワシントン・ポストに「中国はコロナウイルス後の外交政策に失敗している」というタイトルの論文を載せ、中国の近隣諸国との関係悪化を報告した。
ザカリア氏は民主党リベラル系の記者で、日ごろはトランプ政権の政策には反対し、その対中強硬政策にも批判を浴びせることが多かったが、今回の論文では中国の軍事活動をトランプ政権に同調する形で取り上げた。
ザカリア論文が最も深刻な懸念を向けたのは中国のインドに対する軍事攻勢で、両国のヒマラヤ山脈地帯の国境地域ガラヤン渓谷で両国軍が衝突してインド側に少なくとも20人ほどの死者が出た事件だった。インド政府は6月中旬のこの衝突を中国軍の違法な侵入の結果とみており、中国への強硬な抗議を表明した。
ザカリア論文はこのほかに中国の最近の軍事行動としてベトナムの排他的経済水域(EEZ)での中国海軍艦艇によるベトナム漁船の沈没、南シナ海での中国の違法の領土拡張や軍事基地建設に威圧されるフィリピン、コロナウイルスの発生源の国際調査を要求した報復に経済圧力をかけられたオーストラリアなどの実例をあげていた。
ワシントンでは大手研究機関のハドソン研究所やヘリテージ財団もここ数ヵ月の中国の軍事志向の攻勢に真剣な視線を向け、調査研究や報告を重ねるようになった。そうした関心の対象となるインド太平洋の動向でまず注目されるのはインドとオーストラリアの両国が6月上旬に結んだ「包括的戦略パートナーシップ」だった。
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