絶好調テスラ、日本勢反撃へ 1
Japan In-depth / 2020年7月11日 0時31分
Model3は販売価格をかなり抑えたので、おそらくほとんど利益は出てない。ModelYで収益性を一気に改善させたいのだろう。自動車メーカーの戦略としては正しい。ただし、ライバル達が黙っていればの話だ。
▲写真 Tesla ModelY 出典:Tesla
■ 日本勢の反撃:トヨタ
さて日本勢だが、このテスラの猛攻を黙ってみているのだろうか?答えはノーだ。今年に入ってトヨタも日産も攻勢を強めている。
まずはトヨタ。EV化に重い腰をなかなか上げなかったが、流石にかつての盟友テスラがここまで攻めてくるとは、豊田章男社長、夢にも思っていなかったろう。
遅まきながら、まずはレクサスの小型SUVをEV化した。Lexus「UX300e」がそれだ。2020年度内に欧州市場に投入。新開発の54.3kW大容量リチウムイオンバッテリーを搭載、航続距離400km以上を達成したという。
▲写真 Lexus UX300e 出典:LEXUS
実はトヨタはEV開発において、手をこまねいていたわけでは無い。2017年9月には、マツダ、デンソーとEVの新会社「EV C.A. Spirit」(以下、EVCA)を設立している。さらに翌2018年1月にはSUBARU、スズキ、ダイハツ、日野の4社が、同年10月にはいすゞとヤマハ発動機の2社が加わり、合計9社の開発連合となった。EV開発に総力挙げてきたと当時大いに注目された。
▲図 EVCAの体制イメージ 出典:マツダ、トヨタ、デンソープレスリリース
本来自動車メーカーは新規技術は単独開発するのが王道だ。いくら相手が提携メーカーだとて、他社の技術を取り込みながら共同開発していくのは時間もかかるし何より各社の技術者のプライドがぶつかり合い、成果を出しにくい、という側面がある。
しかし、トヨタがプライドをかなぐり捨て自社単独開発より、他社との共同開発に舵を切ったのには理由があると思う。
それは、ハイブリッド技術に世界に先駆けて先鞭をつけ、プリウスを世に出したプライドだ。いや、それより経済合理性の方が大きいだろう。ハイブリッド車開発の膨大な先行投資をようやく回収できる時期に、EV開発の新規投資はそもそも社内で受け入れられるはずもなかった。ボトムアップでは絶対出てこない経営戦略だ。豊田章男社長だからこそ出来た荒技だろう。
そのEVCAだが、2020年6月末で開発を終了し、2021年3月までに会社を清算するという。わずか3年で幅広い車種に対応できる基盤技術が完成したのだろうか?
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