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仏、マスク着用求め殺される

Japan In-depth / 2020年7月12日 19時0分


▲写真 バイヨンヌを走るトラムバス 出典:Twitter:@VilleDeBayonne


しかし、そのことに腹を立てた一人の乗客が、乗車券の確認を行っていたモンギヨさんに罵声を浴びせながら後方から殴りつけた。その拍子にモンギヨさんはバスから転落し、歩道に投げ出されたのだ。すぐには起き上がれなかった。そんなモンギヨさんを、マスクをしていなかった乗客二人が、頭部、上半身を集中的に蹴り続けたのだ。その後、暴行者は立ち去ったが、道端に置き去りにされたモンギヨさんは、救急隊が駆け付けた時にはすでに意識不明の状態であり、そのまますぐに緊急搬送され手術が行われ最善が尽くされたものの、翌日、脳死と判定されたのである。


 


■ 運転手の人柄とバスの運転手を脅かす危険


モンギヨさんは、バスの運転手として32年働いてきた人物だ。今回の事件は、あと一年足らずで定年退職することになっていた矢先の出来事でもあった。その日の朝は、奥さんと一緒に家の窓の掃除をしたり、キャンピングカーの写真をFacebookにあげ、バカンスに行くのを楽しみにしていた。夜、彼の帰りを待っていた奥さんは、夕食に大きなミックスサラダを用意して待っていた。食事のあとは浜辺で一緒にアイスクリームを食べようとも計画していたのだ。それが緊急で病院にいかなくてはいけなくなったときに状況は一変した。


30年一緒に働き、現在はすでに退職している元同僚のジョン=ピエール・マルタンさんはこう語る。「いつも彼が従業員約200人の毎年の食事会を企画していたんだ。ほんとうにいいやつだった。まだ信じられない。」同僚のドニ・ランベールさんも、こう続ける「彼は信念を持ち、人生のルールを持っている人だった。とても礼儀正しい人だったんだよ。」同僚たちは、口々に、モンギヨさんの身の上に起きたことを嘆き、この事件と同様なことが自分たちの身に起こるかもしれない現実について恐怖を感じた。


ランベールさんは、5年前に刺されそうになったこともあるといい、いかにバスの運転手が危険な仕事であるかを語る。バスの中でタバコを吸っていたのでバスから降りるよう求めたところ、ナイフを出してきたというのだ。冬よりも夏の期間の方がさらに危険度が高まる。組合によれば、この8日間で3件の運転手に対しての暴行事件があったそうだ。しかし、警察は何もしない。会社も安全策を講じない。同じバス会社で働く運転手たちは事件に抗議して、最低でもモンギヨさんの葬儀が終わるまでの乗務を拒否した。彼らは、現状では運転手の安全確保対策が不十分だとし、安全策の強化を強く求めたのだ。


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