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仏、マスク着用求め殺される

Japan In-depth / 2020年7月12日 19時0分

 


■ 事件の容疑者たちは起訴されたが・・・


バスの運転手のモンギヨさんに暴行を働き、立ち去った4人は、防犯カメラにはっきりその姿が写っており、またその中の何人かはすでに警察に知られた存在であったためすぐに居場所が特定され逮捕された。そして犠牲者に暴行した疑いのある22歳と23歳の二人の男性たちは殺人未遂で水曜日に起訴され、残り二人の30代の男性たちも犯罪行為を阻止しなかった疑いで起訴されるに至った。


容疑者の起訴後、暴行されたモンギヨさんに敬意を表すために「白い行進」が行われた。その行進には各自白いTシャツをきた6000人もの人々が集まりモンギヨさんをしのんだのだ。また、同じくその日には、フランス各地の交通機関においても1分間の黙とうがささげられた。この日、モンギヨさんの家族らが、モンギヨさんの脳は99%機能していない状態であるが、それでもあと48時間は見守ることを伝えた。だが、その後も回復の兆候もなく、最終的には担当の医師との相談の上、家族が生命維持装置のスイッチを切ることに同意し、とうとうモンギヨさんは10日に旅立っていったのだ。


 


■ 今後のバスの運転手の安全のために


バイヨンヌの市長は「暴力的で野蛮な行為だ」として加害者への厳罰を求めた。また、ジェラルド・ダルマナン内務大臣は「このような凶悪で卑怯な行為は許してはいけない」と述べ、11日の土曜日にバイヨンヌに直接訪れ、街の治安を視察し、被害者の家族、公共交通機関の運転手や組合員と面会した。



▲写真 ジェラルド・ダルマナン内務大臣 出典:在日フランス大使館


フランスでは、この無抵抗であり、規則に従って自分の職務を遂行していただけにすぎないバスの運転手への暴力について、大きな怒りを感じている人が多く、現在は会社や地域だけの問題ではなくなっている。これは、フランス全体のバスの運転手の安全対策にも大きくかかわってくる問題なのだ。内務大臣は被害者家族との面会時に、フランス全土の運転手たちの安全のために、対策をこうじることを約束した。


現在、新型コロナウイルスの感染が広がっている中、事件の発端となったマスク着用も確かに重要なことではあるが、それ以前に、本当に重要なのは安易に暴力行為を起こさせない社会ベースだ。内務大臣は、今回の事件において、これは「フランス社会の本質的な問題」であるという認識をしめした。この本質を改善し、安易な暴力が行われない社会にフランスは変わっていかなくてはならないのだ。しかしながら、今後行われる対策が本当に効果があるかわからない。今はただ、いつの日かフランスでこのような野蛮な事件がおきない日が来ることを願うのみである。


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