ロヒンギャ族難民受け入れで明暗
Japan In-depth / 2020年7月23日 23時0分
AFP通信は7月21日、マレーシアに上陸したロヒンギャ族難民に対してマレーシア司法当局が「不法入国にあたる」との判断を下したことを明らかにした。それによると4月にマレーシア北西部のランカウェイ島に船で着岸して上陸したロヒンギャ族難民202人のうち20人の男性が「不法入国容疑」に問われ、ランカウェイ治安裁判所が禁固7カ月とむち打ち刑3回とする判断を下した、というのだ。
▲写真 ランカウェイ島 出典:Wikimedia Commons; Azreey
「アムネスティ・インターナショナル」などの人権団体や人権活動家からは「命からがら避難してきたロヒンギャ族に対しむち打ち刑という野蛮な行為はただちに中止すべきである」と批判の声がでている。
マレーシアでは4月16日にランカウェイ島沖のマレーシア領海でロヒンギャ族約200人が乗船した船を警戒中のマレーシア空軍機が発見、通報を受けた海軍の艦艇とヘリコプターが現場に急行する事案があった。この時海軍はロヒンギャ族に対し必要な食料を提供して船を領海外まで誘導して「追い返す」という対応を取った。海軍などは「コロナウイルスを持ち込む可能性があったための止むを得ない措置」であると強調、国際社会の理解を求めた。
またその前日4月15日にはバングラデシュ沿岸警備隊がロヒンギャ族の乗船した船舶をベンガル湾で発見、保護した。同船はマレーシアやタイに着岸を拒否されて約2カ月間ベンガル湾を漂っていたとみられ、乗り込んでいたロヒンギャ族約400人を救助したが、60人が死亡していたという。
マレーシアのムヒディン首相は6月26日に「今後ミャンマーからのロヒンギャ族難民の受け入れはできなくなる」として難民受け入れを拒否する姿勢を示し、周辺関係国に通知した。ロイター通信によると同首相は理由としてコロナ感染の予防と国内でのコロナ感染対策を優先させる経済政策のために難民受け入れの資金確保が難しくなっているとの財政的側面を指摘したという。
こうしたことからマレーシアは領海内などで航行中のロヒンギャ族の船舶を発見した場合は必要な援助を与えるものの「着岸、入国を拒否して領海外に誘導」する方針を取っている一方で、発見時にすでに着岸していた場合はやむなく上陸保護するものの、例外措置はあるものの「不法入国者」として扱っている実態が明らかになっている。
■ 積極的ではないが庇護方針 インドネシア
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