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ロヒンギャ族難民受け入れで明暗

Japan In-depth / 2020年7月23日 23時0分

こうしたマレーシアの対応に対してインドネシア政府は積極的ではないもののあくまで「人道的見地」を強調した対応を取っている。


6月24日にインドネシア・スマトラ島最北部アチェ州の沖で故障して漂流中の船舶を周辺海域で操業中のインドネシア漁船が発見し治安当局などに通報、保護を要請した。


保護を求めてオーストラリアを目指していたがマラッカ海峡でエンジンが故障してしまったという同船にはロヒンギャ族難民の女性子供30人を含む約100人が乗りこんでおり、インドネシア漁船も協力して近くの海岸に船をえい航してロヒンギャ族を上陸させ、海岸近くのイスラム教の礼拝施設「モスク」に保護した。


報道では地元当局は当初コロナ感染の危険性があるとして上陸拒否を示していたが、地元漁民の要請で最終的に受け入れを決め、ロヒンギャ族全員にコロナ感染の検査を実施、全員の陰性が確認されたとしている。



▲写真 インドネシアのモスク(イメージ) 出典:pxhere


その後インドネシア外務省は「人道的見地から」として当該ロヒンギャ族難民の保護方針を示し、第3国への移送を含めて今後対応することとなった。インドネシア政府は1951年の「難民条約」には加盟していないため、今後の手続きには時間がかかるものの、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と連絡を取り合って進めるとしている。


ジョコ・ウィドド大統領は以前から「同じイスラム教徒」という立場もありロヒンギャ族の支援には前向きで、4月にはロヒンギャ族難民問題を仲介すべくレトノ・マルスディ外相をミャンマーやバングラデシュに派遣している。


その後、インドネシアでのコロナ禍が深刻化する状況を受けてもジョコ・ウィドド政権は「以前のように積極的ではないまでもロヒンギャ族難民を庇護し支援するという姿勢には基本的に変化がない」(外務省関係者)との立場を取り続けている。


マラッカ海峡を挟んだマレーシアとインドネシアのこうした海路避難してくるロヒンギャ族難民への対応の違いが浮き彫りになる中、ロヒンギャ族の脱出は今も続いている。


必死の航海で追い返されたり、上陸しても不法入国者として訴追されたりするケースのあるマレーシアではなくて、ロヒンギャ族難民たちはなんとしてもインドネシアを目指したいところだろう。


しかし、ロヒンギャ族が命を託す船は老朽化した小型船でエンジンの故障も多く、その航路は風任せ、海流任せ、そして神任せ、運任せというのが現状だ。


トップ写真:ロヒンギャ難民キャンプ 出典:Flickr; The Department for International Development (DFID)


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