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バイデンとハリス 絶妙なコンビ

Japan In-depth / 2020年8月13日 20時28分

 


「野心的だ」と批判されるが、ハリスが立身出世を目指すモチベーションは常に「黒人女性として自分に降りかかる問題を社会構造を立て直すことで解決する」、つまり自分さえ良ければ他人はどうでもいいという気持ちがないからこその「野心」だ。そして今回はジョー・バイデン候補が77歳という高齢であることから、万一の場合に即、大統領として振る舞えることが必要とされる。ここに野心も向上心もない遠慮がちな女性を求めるのは筋違いだろう。


 


民主党の予選で、大統領候補同士のディベートの席でハリスはバイデンを誰よりも鋭く攻撃したとして、トランプから批判されている。これは公共教育機関の人種格差是正の方法として「バシング」、つまり経済的格差のある地域の児童をバスで移動させて通学させるのが政府の役目かどうかを争った時に、ハリスが「私もバシングのおかげで公平な教育を受けられた世代の1人だ」と発言したことを指している。挙げ句の果てにはハリスがバイデンを「レイシスト(人種差別主義者)」呼ばわりしたとまで言っているが、これもトランプ側にでっちあげで、ディベートの際、ハリスは「私はあなたがレイシストだとは思っていません」と明言している。ケンカ腰の言い争いに見えたにしても、つまるところは2人とも政府が率先して人種差別是正をすべきだという方針であることには変わりない。


 


このように初回のディベート聴衆の前で批判されたバイデンだったが、実は亡き息子のボーを通じてハリスの評判や人柄をよく知っていた。ハリスがカリフォルニア州の司法長官だった時、ボー・バイデンはデラウェア州で司法長官を務めており、リーマン・ショックを招いた銀行や住宅ローン会社によって、マイホームを奪われた人たちのために多額の賠償金を勝ち取ったのがハリスだった。全米の司法長官らの協力と、全米一サブプライム・モーゲージに被害が多かったカリフォルニアのために、ハリスが大手銀行を相手に妥協せず、全力で交渉を続けたからこそ180億ドルという賠償金が支払われることとなったのだ。



写真)ボー・バイデン氏(左)   


出典)Wikimedia Commons パブリックドメイン


 


つまり、バイデンは自分が大統領になった際にも、物怖じせず自分に忠言できる強い女性を選んだのであり、既にだいぶ前から心は決まっていたのだろうと推測できる。


 


だが、こうやって副大統領の選出が騒がれているのも一時だけで、これまでに副大統領候補の選択が大統領選の勝敗を決めたとされる事例はない。だが2人揃っての記者会見を見る限り、バイデン&ハリスのコンビは民主党をまとめるのに必要な絶妙な組み合わせのようだ。


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