スー・チー氏、軍司令官と責任応酬
Japan In-depth / 2020年8月23日 11時0分
さらにラカイン州では仏教徒ロヒンギャ族の抵抗組織「アラカン軍(AA)」も軍との衝突を激化させており、治安の不安定化は軍の存在価値を高める「効果」を生み出し、隣国バングラデシュに逃れたロヒンギャ族難民約70万人の帰還問題も一向に進展しないなど、解決への道筋が複雑化しているのも事実だ。
▲写真 ロヒンギャ難民キャンプ(2013年2月20日) 出典:flickr; Foreign and Commonwealth Office
■ スー・チー顧問の真の狙いはどこに
こうしたスー・チー顧問とミン・アウン・フライン司令官のある意味での「責任の押し付け合い」という「溝」が公に明らかになることは珍しく、ミャンマー市民の間ではその真意を巡って様々な憶測が乱れ飛ぶ事態になっている。
11月8日の総選挙ではスー・チー顧問率いるNLDが有利で再び過半数を制するとの見方がある一方で、苦戦を予想する声も出始めている。それは民主化運動の旗手として大きな期待を背負いながらもスー・チー顧問が少数民族問題だけでなく、言論や報道の自由への制限、人権問題への消極的な介入などで十分に国民の期待に応えていない、との批判を受けているからだ。
NLDやスー・チー顧問に不満を抱くNLD党員は離党して独自の政党を結成して総選挙に臨む動きをみせるなど、NLD内部の結束にも乱れが生じているのだ。
こうした不満に応えるために、少数民族との和平問題で軍のやり方を批判することにより「軍と一定の距離を保つことで軍の政治的影響力を削ぎたい」との意向がスー・チー顧問にあるのではないかとの見方も出てきている。ただしそれは「単なる総選挙向けのポーズなのか、根本的な方針転換なのか」に関しては現段階では判断が難しく、総選挙の結果とその後の政権運営をみなければわからないというのが大方の見方だ。
ミャンマーの安定的な政権運営には、軍の意向への配慮と同時に圧倒的多数(約88%)を占める仏教徒の強い支持が不可欠といわれている。今回のスー・チー顧問の少数民族問題での軍と距離を置いた姿勢表明がどう総選挙に影響するか、選挙の争点のひとつになるのか、大いに注目されている。
トップ写真:ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相 出典:ミャンマー外務省ホームページ
この記事に関連するニュース
-
インド外相、ミャンマー内戦巡り軍事政権に懸念表明
ロイター / 2024年6月27日 10時55分
-
「国境通信」野良犬を拾って育てる避難民 川のむこうはミャンマー~軍と戦い続ける人々の記録#2
RKB毎日放送 / 2024年6月25日 17時36分
-
「国境通信」川を挟んだ目の前はミャンマー~軍の横暴を”許さない”戦い続ける人々の記録#1
RKB毎日放送 / 2024年6月24日 10時22分
-
【日本経済大学】井本勝幸特命教授 ミャンマーの現状について特別講演で報告
PR TIMES / 2024年6月18日 13時45分
-
ミャンマー、市民の抵抗のうねり 【舟越美夏×リアルワールド】
OVO [オーヴォ] / 2024年6月15日 10時0分
ランキング
-
1NYで人脈構築の小室圭さん、対照的な生活の眞子さんは「ほとんど外出せず」紀子さまが抱える“複数”の不安
週刊女性PRIME / 2024年7月4日 7時0分
-
2「魚民」の大量閉店は“大正解”か。運営企業「モンテローザ」の“稼ぐ力”は他社を圧倒
日刊SPA! / 2024年7月4日 8時53分
-
3【那須2遺体】長女・宝島真奈美容疑者が遺体発見翌日に応じたTVインタビューで見せた“違和感”について臨床心理士が分析
NEWSポストセブン / 2024年7月5日 7時15分
-
4新潟上越市でマンホール点検中の男性死亡 夕方になっても帰社せず捜索、マンホール内で意識不明の状態で発見
新潟日報 / 2024年7月4日 23時40分
-
5U30世代に政治参加を促す能條桃子さん「20代の国会議員が1人もいない。だから少子化対策もずれてしまう」
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月5日 9時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)