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北朝鮮、金体制最大の経済危機

Japan In-depth / 2020年8月24日 12時0分

例えば、金委員長が最大の課題として強調した電力は、発電電力量が2018年基準で249億kWhに過ぎず、1990年の277億kWhを下回った(韓国統計庁)。石炭、電力、金属、鉄道の4大先行部門も、20~30年前と比較してほとんど進展がないか、むしろ退化した。


また経済運営方式でも、内閣責任制と社会主義企業の責任管理制を提示したが、首領独裁の央集権的枠組みから抜け出せなかったために、結局何らの成果を収めることができなかった。


そして外貨獲得のために、制裁にかからない観光開発に莫大な投資を行ったが、外貨不足にコロナ事態が重なり、元山をはじめ施設は未完成のままとなり、投下資金の回収は全くできていない。国際投資専門機関は、北朝鮮の今年の成長率をマイナス8.5%と予想している。



▲写真 新型コロナウイルスの影響でマスクを着用して、韓国と脱北者に対する抗議デモ参加者(北朝鮮 2020年6月) 出典:DPRK (North Korea)


2)安保理制裁と新型コロナウイルス防疫で貿易は壊滅的状況


トランプ政権は、北朝鮮に対話の扉は開かれているとしているが、非核化がない限り制裁緩和はないとの姿勢を崩していない。


韓国の大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が7月23日に公表した報告書では、北朝鮮の昨年の対外貿易(南北間を除く)規模は前年比14.1%増の32億4000万ドル(約3470億円)と、2016年以来3年ぶりに増加したと発表したが、これは前年の急激な減少による反動によるもので、国連の対北朝鮮制裁が本格的に実施される前と比べると依然として半分程度の水準にとどまっていると指摘した。


こうしたことから北朝鮮の外貨保有は、急激に減少している。金正恩委員長の現地指導が極端に減少したのも、健康不安に合わせて外貨不足が大きな影響を与えている。現地指導は、即金正恩委員長の資金提供を意味するからだ。現地指導の減少は、そのまま統治力の弱化を意味する。


こうした状況下で、文在寅政権は、従北人士を安保ラインと統一部長官に据え、なんとしてでも北朝鮮支援を行おうとしているが、制裁堅持の米国の姿勢をくずせないでいる。統一部長官の李仁栄(イ・インヨン)が、浅知恵で南北間初の「小さな交易(北朝鮮の酒と韓国の砂糖の交換)」をひねり出したが、それさえも北朝鮮側事業者が制裁リストに載っていたことで、ご破産となった。


北朝鮮が、新型コロナウイルス感染拡大防止のために国境を封鎖したことで貿易は更に萎縮した。韓国貿易協会が8月20日に公開した北朝鮮と中国の貿易に関する報告書によると、今年上半期の北朝鮮と中国の貿易額は4億1200万ドル(約434億円)で、前年同期比で67%減少した。北朝鮮から中国への輸出は72.3%減の2900万ドル、輸入は66.5%減の3億8300万ドルだった。


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