中国、アルゼンチンに急接近
Japan In-depth / 2020年8月26日 23時19分
最近の両国関係を象徴するのが、先ごろ発表された通貨スワップ協定の更新合意。両国政府は7月末期限切れのスワップ協定について総額を180億ドル相当に引き上げ、更新することで合意した。これにより、アルゼンチンは対外債務危機に備えることができる一方、中国は人民元によるアルゼンチン産農産物の購入が可能になる「“ ウィン・ウィン ”の関係が成立する」(中国紙「環球時報」)という。
■ 対IMF交渉には米国の支援が必須
その一方、「新型コロナで直撃を受けたアルゼンチンの窮状に中国がつけ込もうとしている」(ブエノスアイレス在住の米国人経済アナリスト)との厳しい見方もある。
「フェルナンデス政権が親中路線に突っ走り、米国との関係が悪化することは今後のアルゼンチンにとって大きなマイナス」(在ブエノスアイレス外交筋)との声も強い。
アルゼンチンは今月初め、約650億ドルに上る外貨建て国債の債務再編交渉について債権者側と合意に達したばかり。次の重大課題は国際通貨基金(IMF)との交渉だ。
アルゼンチンは2018年の通貨危機の際、IMFから580億ドル規模の金融支援を受けているが、来年から返済が始まる予定で債務返済の猶予を要請せざるを得ない状況。新型コロナの影響で同国の今年の経済成長率はマイナス10%あるいはそれ以上のマイナスが見込まれる上、インフレ高騰、失業増大、財政赤字急増など経済悪化要因が山積しているからだ。
「フェルナンデス政権はIMFに対し返済猶予だけでなく、追加支援を求める必要があるが、そのためには同基金に大きな影響力を持つ米国の支援が得られるか否かがカギ」(アルゼンチン有力経済「アンビト・フィナンシエロ」)というのが大方の意見。だが、アルゼンチンの対米関係はギクシャクしている。アルゼンチンに亡命した反米左翼のモラレス前ボリビア大統領をフェルナンデス政権が支援していることなどが大きな理由である。
米国は、中国がアルゼンチンで影響力を増すことに強い警戒感を示す。米中対立が一段とエスカレートする中、アルゼンチンは「中国と緊密な協力関係を維持しつつ、対米関係にも配慮せねばならないという“ 綱渡り外交 ”」(前述の外交筋)を余儀なくされそうだ。
(了)
トップ写真:アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領(2020年7月8日) 出典:アルゼンチン大統領府 facebook
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