TOKYO2022の可能性 嗚呼、幻の東京五輪その7
Japan In-depth / 2020年8月31日 18時0分
これに対して「予定通り開催すべき」としたのは22.5%にとどまった。
もっとも「観客を減らすなどしての開催」すべきとの回答が23.7%あったとのことで、全体として「中止・延期派」と「開催派」は拮抗している。
その理由は、予定通り開催されなかった場合、日本経済に「よくない影響がある」と考える企業は85.2%にのぼる、という調査結果から、容易に推測できよう。
本シリーズの最初の方で紹介した通り、元マラソン選手の有森裕子さんは、中止にするなら年内に決断を、と呼びかけているが、同時にこうも語っている。
「再度の延期はあり得ない。それでは別ものになってしまう」
大会に照準を合わせて調整してゆくアスリートの実感は、たしかにこの通りだろう。
しかし、新型コロナ禍がひとまず収束したならば、という前提で、あえて
「オリンピックに代わる別ものの世界大会」
を2022年に開催することも、検討してみてはどうだろうか。
実は、前例があるのだ。
本シリーズをここまで読まれた方は、近代オリンピックが1896年アテネ大会より始まったこと、企画から運営まで中心的役割を担ったピエール・ド・クーベルタン男爵の構想は、4年に1度、世界各国の都市が持ち回りで開催する、というものであったことを、すでにご存じであろう。この構想に従い、第2回大会は1900年にパリで開かれ、以降4年ごとの開催が現在まで踏襲されていることも。
しかし、第3回は1904年セントルイス、そして第4回は1908年ロンドンであったのだが、このふたつの大会の中間、1906年にアテネでも「第3回」大会が開かれていることは、あまり知られていない。
写真)セントルイスにあるオリンピックランナーの像
出典)Needpix.com
どういうことかと言うと、クーベルタンの構想に対して、時のギリシャ国王ゲオルキオス1世が横槍を入れたのだ。いわく、
「オリンピア競技会を現代に復権させたというのであれば、恒久的にアテネで開催されるべきである」
少し説明を加えておくと、近代オリンピックの構想にギリシャ王国が賛同し、積極的に支援したからこそ、第1回大会が成功裏に終わったことは事実である。しかし、当時の国際社会にあって「バルカン半島の老いた小国」などという蔑視・蔑称に甘んじていたギリシャ王国が、この大会のおかげで大いにプレゼンスを高めたこともまた事実なので、言うなれば、そのあたりはお互い様である。
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