辞任と棄権とボイコット(下) 嗚呼、幻の東京五輪 最終回
Japan In-depth / 2020年9月3日 7時0分
「平和の祭典であればこそ、あまりに不穏当な人たちの参加は認められなかった」
というのが、歴史的事実なのである。言い換えれば、
「古代オリンピアの平和主義に照らして、北朝鮮の参加は拒否されるべきだ」
という主張にこそ、論理的正当性があるのではないか。
言うまでもないことだが、現実的可能性があるか否か、これはまた別問題である。
仮に東京五輪が開催できたとして、
「拉致被害者全員が帰国するまでは、北朝鮮代表の入国など認めない」
などと発表したら、韓国や中国がボイコットをちらつかせてくることは必定だし、
「日本はやはり差別主義が蔓延している」
などというネガティブな反応が広まって、日本外交が逆風にさらされる可能性さえある。
これまた誤解なきよう述べておくが、私がそれを是認しているわけではなくて、あくまでも国際社会の現実という問題の中で、そのことを述べているのだ。
それでもなお、安倍首相には最後のご奉公として、
「拉致問題解決までは、スポーツも含めて北朝鮮との交流は禁じられるべきである」
と一言述べて欲しい。
私は半島の人たちや、半島にルーツを持つ人たちに偏見など抱いていないし、日朝間の関係改善は望ましいことだと信じて疑わないけれども、すべては拉致問題の解決あってのことである。
ましてや、他国民を拉致するような国家の代表を、
「スポーツと政治は別もの」
などと言って歓迎するのは、偽善を通り越した国民への裏切りではないか。
IOCの掲げる五輪精神が実は偽善だということを知ったなら、それを逆手に取るくらいのしたたかさを、日本の政治家には求めたい。
(このシリーズこれで最終回)
トップ写真:聖火の採火式 出典:Pixabay
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