朝日新聞「悪魔化」の病状
Japan In-depth / 2020年9月6日 18時1分
《(コロナも空爆も)どう食い止めるか、被害を小さくするかは、人の営みが左右する点で同じだ》
いまの日本人で中国から侵入してきた新型コロナウイルスを76年前の米軍の日本空襲と同一視する人が何人いるだろうか。駒野記者の記述にはコロナウイルスに関して中国という言葉はまったく出てこない。あたかもアメリカがいまの日本でウイルスを拡大しているかのような基調なのだ。そのアメリカはいま中国発のウイルスの世界最大の被害国なのである。朝日新聞の伝統の反米媚中の路線さえもはるかに超える、奇々怪々の屁理屈が続いていた。
駒野記者の頭の中にはB29の爆撃図が刻まれていて、今回のコロナ感染拡大にそれをすぐに取り出して重ねたのだろうか。日本もアメリカもともに中国発のウイルスに苦しむこんな現状でも、悪いのはアメリカだと非難の指をさす駒野記者の思考のゆがみにはきわめて異様な症候を感じてしまう。同じ「情報マップ」ならば、コロナ拡大時に中国からの観光客が多数、訪れた日本各地の地図でも描く方がずっと自然である。
だがこのコラム記事のゆがみはさらに激しくなる。
駒野記者は記事のなかで、この米軍の日本爆撃が激しかった時期の日本の首相は陸軍出身の小磯国昭氏だったことを強調する。そしてその小磯首相が空爆の阻止や国民の保護にはまったく無為無策だったとして非難を浴びせる。小磯首相が当時の日本国民に「米英撃滅の誓いのための神社参拝」を勧めたことをとくに「科学を信じない無為な時間の浪費の神頼み」とこきおろす。そのうえで駒野記者は安倍晋三首相がその小磯国昭首相と同じだという趣旨をあれこれと論じていく。
▲写真 小磯国昭氏(1939~45年頃)1944年(昭和19年)に内閣総理大臣に就任、1945年(昭和20年)4月に辞任。 出典:共同通信
《あれから、私たちは何か得ただろうか。感染症に対する備えを怠った上、全世帯に配布したのは、2枚ほどの、それも寸足らずのマスク。本気で国民を守るために、どれほどの科学的検討があったのだろう》
駒野記者はさらに小磯首相と安倍首相の共通的なるものを「無為無策」「国難の最中の退陣」などという言葉をあげて強調していた。
そもそもいまの中国発コロナウイルスが米軍の日本爆撃となんの関係もないのと同様に、安倍首相と小磯首相の間にも70年以上の歳月を隔てて、なんの関係もないのである。
それを朝日新聞のこの記者は無理やりに結びつけようとする。安倍、小磯両氏とも危機の途中で政権を投げ出した無責任政治家だというのだ。
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