新総理は脱安倍路線で「ポスト安倍 何処へ行く日本」
Japan In-depth / 2020年9月7日 9時53分
外交はどうだろう?トランプ大統領との距離が近く、そのおかげで関税を上げられずに済んだとか、「思いやり予算」を倍増させられずに済んだ、とか評価する声を聞くが、それは米中対立の構図の中での話。たまたまアメリカ側の優先順位が中国だっただけにすぎない。いつまた日本に矛先が向かうか誰も分からない。
日米関係は、広くアジアの安全保障の枠組みで考えるべきものだ。日米「矛と盾」の関係が大きく変質しようとしている中で、日本の役割分担をどうするか国民に問わねばならないが、安倍政権は、憲法改正の神学論争の隘路から抜け出すことが出来なかった。
そして、北方領土問題も、拉致問題も全く進展しなかった。前者は対ロシアの経済支援策まで用意したのになしのつぶて、後者はトランプー金正恩会談が3回も行われ一時は何らかの進展があるかと期待されたが、日本は米朝会談に一枚噛むことすら出来なかった。
対韓国関係も、文在寅政権の反日姿勢があまりにひどいとは言っても、「ホワイト国除外」から余計こじれたのは明白だ。勝手に言わせておけ、というのでは外交とは言えない。
つまり、「外交の安倍」とはいうものの、外交の「安倍路線」の継承もこれまたよろしくないのだ。従来と異なるアプローチが必要な段階に来ているのではないだろうか。
そういう意味において、安倍辞任は時宜を得たものだったのかもしれない。どんな組織も長期政権は腐敗するし、停滞する。安倍政権の後半は、お世辞にも褒められたものでは無かった。隠蔽、改ざん、無理な法解釈・・・枚挙にいとまが無い。野党で無くてもうんざりする。
次期総理には、「安倍路線」継承ではなく、「安倍路線」との決別、もしくは、「〇〇(次期総理の名前)路線」への進化を謳ってもらいたい。
まずは、迷走する「コロナ対策」を立て直すことだろう。過度の自粛は景気後退を加速させる。特効薬もワクチンも無い状態が当面続くであろう中で、過度の自粛が続けば、年を越せない企業が増える一方だ。国民に何を求め、政府は何をするのか、より明確に示すことが重要だ。
景気刺激策が「マイナポイント」だけというのではお寒い限りだ。消費税減税を考えるタイミングに来ているのではないか。総選挙となれば野党はそれを打ち出してくるだろう。対する与党はどんな政策を掲げるのか。
野党を野合と言うなら、自民党の総裁選も派閥の論理だけで進んでいる。どっちもどっちだ。総選挙をどうしてもやるというならそれもしかたない。我々に止めることは出来ない。しかし、これだけは忘れてはならない。日本は今、戦後最大のピンチに直面しているのだということを。
そして、私たちが票という武器を持っていることもお忘れ無く。
トップ写真:菅義偉官房長官 出典:内閣官房内閣広報室
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