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どうなる?菅政権の安保政策 「ポスト安倍 何処へ行く日本」

Japan In-depth / 2020年9月9日 23時0分

この(A)と(B)は菅政権でも変わらない。そもそも石破政権でもさらに政権党が交代しても変わる政策ではない。*1 軍事力の比率を改善する必要性は今後もなくならない。また改善の施策も(A)と(B)以外には存在しないからだ。


また日本国民もそれを求める。中国軍事力の成長に不安感を抱き改善を求めているからだ。*2


この点で(A)と(B)の政策変更はありえない。変えられるのは味付け程度だ。海空強化のために陸自をどこまで削るか。防衛産業都合の国産兵器開発をどこまではねつけるか。イージス・アショアをどうするか位の調節である。



▲写真 日本は中国の空母保有に衝撃を受けた。日本人は戦争の経験から海軍力を重視し中でも空母を主力艦とみなすためだ。 出典:侯融,陳国全「重磅発布!我国第二艘航母首次出海試験」『中国軍網』(2018.5.13)より。(撮影:李剛)


■ 歴史認識問題の直視はできない


変えたいが変えられない分野が(D)「中国懐柔による関係安定化」である。これは本来は変えるべき分野だ。だが菅政権では変更できない分野でもある。


中国懐柔とは中国感情への配慮あるいは妥協である。それにより中国側の対日敵対心を低下させ日本の安全保障環境を改善するやり方だ。


最大の案件は歴史認識問題だ。日本では「侵略戦争を引き起こした」歴史事実に対する認識は甘い。また得てしてその事実を否認する態度がとられる。


これは日中対立の要因となっている。尖閣問題とあわせて中国人の対日感情を悪化させる二大要素である。悪感情としては軍事的対立で生じる対日敵対心よりも大きい。


実際に日本は過剰に警戒されている。歴史認識問題により必要以上の敵対視を向けられているのだ。


逆に言えば改善により中国の敵対視も緩和できる。仮に歴史認識問題を解決できれば対日強硬態度の半分を除去できるのである。


だが、菅政権はこの選択肢は取れない。支持勢力がそれを許さないためだ。歴史認識問題の直視は安全保障環境も改善する妙手だが選べないのである。



▲写真 日本軍国主義はアジアを侵略し日本軍国主義はアジアを侵略した。その否認により日中関係は悪影響を受けている。日本は善行のために中国に軍隊を送ったのではない。それを認めるだけで安全保障や経済協力は改善する。写真は八百壮士で知られる激戦地四行倉庫の由緒である。 出典:著者撮影


■  選択できるのは緊張緩和だけ


つまり政策変更の可能性は(C)「日本側自制による緊張緩和」に限られる。政策変更が必要である。そして菅政権でもそれが実施できる唯一の分野だからだ。


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