安倍政権の媚中派名指しした米報告書(1)なぜ今井、二階両氏なのか
Japan In-depth / 2020年9月11日 11時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・米の中国糾弾が先鋭化、共産党政権との関係全面的切り離しも見えてきた。
・米、有力シンクタンクが首相補佐官今井尚哉氏の名を明記。
・今井氏は二階俊博自民党幹事長と一体となり、親中政策を推進とも。
アメリカの中国糾弾の動きがまた一段と大規模かつ先鋭となってきた。トランプ政権の中国敵視政策が決定的に明確になったともいえる。しかも野党の民主党の同意を得ての中国との対決でもある。
トランプ政権は中国共産党政権との関係の全面的切り離しという最悪シナリオまでも覚悟したようにさえみえる。
アメリカ側が官民で中国に対する姿勢をこれほど硬化させたのは、中国の習近平政権下での南シナ海などでの軍事侵略、アジア近隣諸国への威圧外交、不公正な経済慣行、国内での過酷な人権弾圧などへの反応だった。
そのうえに中国側の新型コロナウイルス発生での隠蔽工作や虚偽情報発信がアメリカ側を激怒させた。
非難された習近平政権が開き直ったように、アメリカだけでなくオーストラリア、イギリス、インドなどの民主主義諸国を自ら「戦狼外交」と称する乱暴な言動で攻撃するようになったことも米側の反中の炎をさらに燃えあがらせた。
トランプ政権はその対中対決では日本など同盟諸国との連携を強く求めている。同政権が最近、公表した対中政策文書の「インド太平洋戦略」や「中国に対する戦略的アプローチ」をみても、日本との協力への期待を明確に表明していた。
だからいまのアメリカは中国に対しての日本の姿勢を気にかけて、アジアでの最重要な同盟国としての日本の米側との対中共同歩調を強く求めるわけである。
だが安倍晋三政権のいまの中国に対する政策は明らかにアメリカの期待通りではない。
習近平国家主席を国賓として招くという現在の民主主義陣営では考えられない中国へのすり寄り外交政策を安倍政権がほぼ決めていたという事実がその例証である。
だからアメリカ側には日本の対中政策への懸念や不安が存在する。
こうした背景のなかでアメリカ側で日本の安倍政権内部の媚中派への警告とも解釈できる調査報告が公表された。
ワシントンの有力シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」が「日本における中国の影響力」と題する報告書を作成し、2020年7月末に発表したのである。
同報告書でとくに注目されるのは安倍晋三首相の対中姿勢を対中融和の方向へ大きく動かしてきた人物として首相補佐官の今井尚哉氏の名を明記した点だった。
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