「穏健な中道」岸田文雄 自民党総裁選その4
Japan In-depth / 2020年9月14日 11時4分
第二に、時代にあったものであり、皆がついていける程度に先行している政策である。新しさを打ち出したり、斬新で目立つような政策ではないのが特徴である。関係者の立場や急激な変化は相手にとってはきついことなど配慮して、徐々に進めていくことが彼の信念なのだろうか。
第三に、外交が強みなのにその言及が弱いこと。信頼しあう人間関係同様、大人な対応の言及が見える。日米同盟を基軸に主要7カ国(G7)や(米英豪など)ファイブアイズなどと連携することを明確に主張している。「韓国に国際条約、国際法、国際儀礼を守ってもらうことは譲れない。話し合いを進めるにも、国民感情や社会の雰囲気を落ち着かせながらやることが重要だ」との発言など韓国に対しても明確な指針を示している。中国への対応は「中国との対話の窓は決して途絶えさせてはならない。したたかにコントロールしていかなくてはならない」という。香港・新疆における人権状況をどう認識するのか、岸田さんが重視する核兵器の廃絶を進めるうえで中国の脅威をどう考えるか、岸田さんが重視するデジタル施策のなれのはての「デジタル全体主義」が進む国であることなどなど懸念への言及はかなり少ない。
▲写真 岸田氏(左) 出典:Flickr; Bundesministeriums für europäische und internationale Angelegenheiten.
■ 岸田さんの政策で日本はどうなるか?~日本社会のためのリーダーシップ
「持っていない」とたびたび揶揄される岸田氏。何が持っているのか、持っていないのか、世間の評判は言わせておけばよい。政策理念を掲げ、論理的に政策を提示し、信頼や公正など自分らしさと知的レベルを兼ね備えている内容を見ると、なぜ世間が評価しないのかと思えるレベルのものであった。安倍政権の功績を認めたうえで、問題点を修正する、そして時代に合った政策を提示している。
総理になる場合は、現状に的確に対応する政策を遂行してくれるだろう。期待したい。
(その5に続く。その1、その2、その3。全6回)
トップ写真:岸田文雄氏 出典:外務省HP
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