「キーワードはグレートリセット」石破茂 自民党総裁選その6
Japan In-depth / 2020年9月14日 12時3分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・石破氏、安倍政権からの変革「グレートリセット」を理念に掲げる。
・「共感と納得」という理念から防衛、憲法改正に慎重な姿勢。
・石破氏の政策は新しい視点で新たな日本の「国づくり」を展望している。
自民党総裁選。各候補の「人間力」「政策」を見ていく特別企画もラストとなる。
第6回は石破茂さんの政策。当初、地方創生大臣として安倍政権を支えていたのだが、途中で別れ、なぜか対立関係に近い状況になってしまった。総裁に当選し総裁になったらどのような政策を推進するのだろうか。これまでの発言、著書などを中心に見ていきたい。
■ グレートリセット
「納得と共感」といった理念が核である。「国会を公正に、政府を謙虚に」という発言が示すように、安倍政権において強いリーダーシップのもと、権限が拡大し、数々の「不文律」を破ってきたこと(内閣法制局長官人事、NHK経営委員の国会同意人事など)、森友・加計問題への批判でもあろう。「グレートリセット」を主張している。
まとめると以下のようになる。
▲表 【出典】筆者作成
これまでもいってきた東京一極集中の解消や地方創生が大きな柱である。「石破ビジョン」では、「自由と寛容さを高めて女性、若者、高齢者にフェアな社会を実現します」とも掲げ、特に性暴力・性犯罪対策の抜本的強化を主張するなどリベラルな政策も内包する。
具体的に見ていこう。基本的には安倍政権からの変革が特徴だ。
▲表 【出典】筆者作成
アベノミクスは「サスティナブルでない、不十分」という認識のもと、低所得者の可処分所得を引き上げることで消費のテコ入れを主張。日銀による国債や上場投資信託(ETF)の大量購入が市場の自律的な価格形成に影響を与えると指摘し、「市場機能を取り戻す必要がある」と訴えたほど。まさに路線を変えるということだ。アベノミクスの軟着陸を視野に入れている。
防衛では、敵基地攻撃能力(弾道ミサイルの発射基地など、敵の基地を直接破壊出来る能力のこと)の保有に関する政府の検討についても慎重な姿勢を崩していない。理由は「日米安保との関係などを詰めないまま、敵基地攻撃論が独り歩きすることは極めて危険だ」と対話が不十分であり、手続きが不十分であるとしている。政策を進めていく上での「共感と納得」という理念からみても当然のことだ。憲法改正についても政党をきちんと憲法に書くこと、最高裁裁判官の国民審査の在り方を書くこと、臨時国会の召集についてきちんと書くことなど、国民に訴えるためにまず国会でそういう努力を最大限にすると主張する。
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