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相次ぐイスラエル・湾岸諸国の国交正常化

Japan In-depth / 2020年9月15日 23時13分

相次ぐイスラエル・湾岸諸国の国交正常化


宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)


宮家邦彦の外交・安保カレンダー【速報版】 2020#38


2020年9月14-20日


【まとめ】


・米国の仲介でUAEに続き、バハレーンがイスラエルと国交正常化。


・これに追随する湾岸アラブ諸国が更にいくつか出る可能性も。


・今後はサウジアラビアの動きに注目。


 


今年も9月11日がやってきた。19年前のこの日、筆者は北京の日本大使館に勤務していた。当時の中国はようやく人々が豊かになり始めた頃、今とは比べ物にならないほど毎日が楽しかった。アルカーイダによる貿易センタービルへの攻撃はCNNの生中継で女房と見ていた。改めて犠牲となった人々に心から哀悼の意を表したい。



▲写真 世界貿易センター 出典:pikist


では、今年の9月11日はどうか。海外では米大統領が、バハレーン国王とイスラエル首相、それぞれと電話会談を行った後、「米国の仲介で両国が国交正常化で合意」したと発表した。8月13日にはアラブ首長国連邦(UAE)・イスラエルの国交正常化が合意されており、トランプ氏はこれを「歴史的成果」だと自画自賛している。


UAEとの場合は、サウジが慎重な態度を取ったこともあり、これに追随して国交正常化を急ぐ他のアラブ諸国はないと見ていた。各種報道を見ていると、どうやらバハレーンは米国の圧力に屈した(失礼)というか、強い要望を受け入れたのだろう。小さいとはいえ、新たに正常化に踏み切ったアラブ国家が2か国とは小さくない話だ。


今後は目立たない形でこれに追随する湾岸アラブ諸国が更にいくつか出るかもしれない。いずれにせよ、イスラエルとGCC諸国との関係改善は既に水面下で進んでいたので、内容的には現状を追認した形になっている。今後はサウジの動きに注目したいが、それにしても、パレスチナの指導部は一体何をやってきたのか。


一方、同じ9月11日、国内では自民党総裁選の騒ぎの中で何度か国家安全保障会議が開かれ、安倍首相の、事実上最後の、首相談話が発表された。内容的には「抑止力の重要性」を強調しつつ、年末までに国家安全保障戦略の改定を含む、新たな方向性を示すことを滲ませた「頭出し」談話となっているようだ。


あくまで、「敵基地攻撃」などではなく、「専守防衛」の枠内での「抑止力の強化」という大局的な概念整理のようで、方向性は正しい。突然の病気再発による退陣とはなったが、16日の辞任までに安倍首相は、何とか方向性を示しておきたかったのだろう。これが実現すれば、安倍安全保障政策の菅内閣による総仕上げとなる。


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