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インドネシア 医師百人超コロナ感染死 

Japan In-depth / 2020年9月16日 16時0分

インドネシア 医師百人超コロナ感染死 


大塚智彦(フリージャーナリスト)


「大塚智彦の東南アジア万華鏡」


【まとめ】


・インドネシア、コロナ感染で死亡した医師が114人に上る。


・大規模社会制限の発令、緩和、緩和撤廃と迷走する政府。


・ワクチン開発や医療従事者への対応策などに力を注ぐべきとの批判も。


 


新型コロナウイルスの感染者数、感染死者数の増加に一向に歯止めがかからないインドネシアが医療崩壊の危機に直面している。インドネシア全34州で最も感染者数が多い首都のジャカルタ特別州では感染者の急増でコロナ感染指定病院の確保された病床の77%がすでに占有され、重篤患者を収容するICU(集中治療室)も83%が埋まっている状態で、遠からず病床不足が現実問題として迫ってくるのは誰の目にも明らかな状況となっている。


さらに深刻なのは医療従事者の感染で、インドネシア医師協会(IDI)が9月12日に発表した数字によると、これまでにコロナ感染で死亡した医師は114人に上っているという。


8月31日のIDIの発表では感染死亡医師は100人だったので、その後の12日間で14人が死亡したことになり、最前線でコロナ感染治療に当たる医師の不足も深刻化している。このためIDIなどでは医師、看護師などの医療従事者の安全確保についてジョコ・ウィドド政権に対し「特段の配慮」をかねてから要請しているものの、感染者数の増加ペースに医療現場の実情が追いつかないという厳しい状況が生まれている。


 


■装備不足、過酷な勤務、使命感が背景


インドネシアを含む東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟の全ての国が医療従事者のコロナ感染死亡事例を明らかにしている訳ではないが、インドネシアの数字は域内最悪とみられている。


医師がコロナに感染して命を落とす原因として


 ①マスク、手袋、防護服など医療従事者専用の高度な装備品の不足


 ②慢性的な医師不足に加えて休憩や休みが取れないあるいは取りにくい過酷な勤務実態


 ③目の前に患者がいる限り治療を続けるという高い医師の使命感、倫理観などが背景にあるとIDIでは分析している。


直近の例では9月9日に2人、10日に3人の医師が感染死している。医師の感染死が最も多いのは感染死者数がインドネシアで最も多い東ジャワ州でこれまでに医師29人が犠牲となっており、次いで北スマトラ州の21人の順になっていると指摘する。死亡した医師のうち約半数の55人が総合診療医と感染症専門医となっているという。


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