IS、東南アでリクルート作戦
Japan In-depth / 2020年9月26日 23時0分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・イスラム国、東南アジアのイスラム教徒対象にリクルート作戦展開。
・マレーシア、インドネシア、フィリピンでISの動きが活発化。
・コロナによるロックダウンでオンラインによるテロ思想が拡散。
中東のテロ組織でほぼ壊滅状態に陥っているとされる「イスラム国(IS)」が東南アジア地域のイスラム教徒を対象にした新規メンバー獲得の「リクルート作戦」を展開し、新たな拠点を東南アジアに築こうとしていることがマレーシアやインドネシア、フィリピンのカウンター・テロリズム専門家などの指摘で改めて明らかになった。米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」系列の「ブナ―ル・ニュース」がこのほど伝えた。
報道によると、この「リクルート作戦」には東南アジア方面にシリアやイラクなどから脱出してきたISの残党やISに参加していて帰国した東南アジア出身の元ISメンバー、さらにIS参加のためにシリアなどへの渡航を試みたものの果たせなかったIS心酔者、支持者などが中心となって参加しているという。
そしてターゲットとなっているのがイスラム教国のマレーシア、世界最大のイスラム教徒人口を擁するインドネシア、南部でイスラム教テロ組織による政府軍との戦闘、自爆テロを含むテロ活動が続くフィリピンなどの若者を中心としたイスラム教徒で、特に「ジハーディスト(聖戦主義者)」と呼ばれる過激思想の持ち主がその対象となっていると指摘している。
さらに東南アジア全域で拡大している新型コロナウイルスに対する各国政府による「感染拡大防止」のための各種施策、規制が皮肉なことにこの「リクルート作戦」を”援護射撃”しているとの指摘もでており、関係国政府や治安当局などはコロナ禍に乗じたIS関連テロ組織の新たな活動の活発化に警戒をせざるを得ない状況に追い込まれている、と各国の「カウンター・テロリズム」の専門家による分析を伝えている。
■ 東南アジアのテロ組織への接近、浸透
「ISは決して死んではいない。シリアでは壊滅したかもしれないが、中東、北アフリカそして東南アジアで再編の動きが見られる」というマレーシア・ペルリス大学のカウンター・テロ専門家、ミザン・アスラム氏の言葉を引用するなどして「ブナ―ル・ニュース」は現在、マレーシア、インドネシア、フィリピンで進む「IS組織再構築の動き」に警鐘を鳴らしている。
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