何故出来ぬ、消費税減税【菅政権に問う】
Japan In-depth / 2020年10月3日 10時49分
個人的に、これまでジョンソン首相という人を、あまり高く評価してこなかった私だが、このように自身の誤りは率直に認め、それでもなお前向きな態度を貫こうとするあたりは、やはり英国紳士なのだな、と大いに見直した。
一方、こちらはすでに述べたことであるが、対応が素早かったのは、ドイツのメルケル首相だ。自身が博士号を持つ理系の研究者だっただけあって、医学者や病理学者の説明を問題なく理解でき、
「感染規模が現在の1.7倍に達したなら、わが国の医療は崩壊します」
といったように、非常にわかりやすい言葉で国民の危機意識を喚起し、その上で移動を制限する政策を打ち出したのである。
▲写真 メルケル首相 出典:ロシア大統領府
日本円にして70兆円規模の経済対策も手早く実行された。我が国では108兆円もの事業規模に達するとして、前述のように自画自賛していたが、ドイツの人口が日本の半分程度だということは考慮されていたのだろうか。
もちろん108兆円というのは巨額の支出である。GDPの20%に達する額で、英国BBCが報じたところによると、対GDP比でこれを上回る支出をしたのは、EUの基金から支援を受けることができたマルタだけだという。
ただ、ここで先ほど発した問いに立ち返らざるを得ない。それだけの支出がなされていて、どうして新型コロナ禍を原因とする失業や貧困問題が、一向に改善されないのか。
特にお寒いのが、アルバイトや奨学金に頼らなければ学業を全うすることが難しい、といった立場の学生に対するケアだ。
これについては立憲民主党の蓮舫議員が、
「対策を急がないと(大学をドロップアウトせざるを得ず)高卒になってしまう」
と発言して、高卒を馬鹿にするのか、とヒンシュクを買ってしまったが(後日、謝罪している)、こういう危機感自体は、持たないより持ったほうがよいだろう、とは思う。大学を「自主卒業」して威張っている私が述べても、あまり説得力はないかも知れぬが笑。
話を戻して、英国でも大学生は大変な状況に置かれている。
よく知られる通り9月が新学期だが、3月から早くもリモート講義に切り替え、学生に対しては、入学前の住所(英国人学生は実家、留学生は母国)に戻ることを促している。
ただし、国境が閉ざされて国へ帰れない留学生も多く、その場合には、大半の大学が寮費を免除する措置をとった。
さらに言うと、英国では多くの学生が、学費や生活費をメンテナンス・ローンでまかなっている。これは卒業後、年収が一定以上になってから、天引きで返済して行くというもので、年利3%の「金融ビジネス」と化しているわが国の奨学金制度とは、似て非なるものだ。
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