IDB総裁にトランプ政権タカ派
Japan In-depth / 2020年10月6日 7時0分
もともと、同氏がホワイトハウス入りしたのはボルトン元大統領補佐官との太いつながりからであり、同氏をIDB総裁ポストに強力に推薦したのは共和党強硬派のルビオ上院議員との情報も流れている。
▲写真 ジョン・ボルトン元大統領補佐官(2015年2月27日)。クラベルカロネIDB新総裁はボルトン氏と太いつながりがあるという。 出典:Gage Skidmore
民主党の有力幹部の一人はクラベルカロネ氏について「イデオロギー的に偏りすぎており、IDB総裁にはふさわしくない」と批判する。ブラジルのカルドゾ元大統領やコロンビアのサントス前大統領ら中南米の有力政治家も同じような理由で同氏のIDB総裁就任に反対を表明した。
米大統領選との絡みで懸念する意見もある。メキシコの有力メディアは、11月の米大統領選で民主党のバイデン候補が勝利した場合にはクラベルカロネ氏のIDB総裁就任に反対し、重大な問題が起きると予想する。
詳細な中南米報道で知られる米有力紙「マイアミ・ヘラルド」は同地域専門家の意見として、バイデン氏が大統領になれば、クラベルカロネ総裁の辞任や新たな総裁選挙の実施を要求することが可能だと報じた。また、民主党が多数派を占める米議会下院がIDBへの米国の増資に反対する可能性もあるという。
■新総裁の強硬発言に不安増す
クラベルカロネ氏が総裁就任前から「中南米への投資面でIDBは中国にとって代わることができる」「西半球での中国の影響力に対抗するため、IDBを強力な融資機関とする」などと強硬発言をしていることも、アルゼンチン、メキシコ、チリなど中南米有力国の不安をあおっている。「アルゼンチンやニカラグアの左派政権のほか、米国と一定の距離置くような中南米の政権に対する経済支援の削減や打ち切りも新総裁の頭の中にはあるだろう」(メキシコ外務省高官)と警戒する声も聞かれる。
一方、親米政権のブラジルやコロンビアなどはクラベルカロネ新総裁就任に支持を表明した。クラベルカロネ氏は総裁就任に際し、加盟国間の団結の重要性を訴える一方、IDBの政策への米国の関与拡大も示唆した。
前述のペルー・カトリカ大政治学者は「クラベルカロネ氏のIDB総裁就任は中南米諸国間に新たな懸念と警戒のタネをまくとともに、域内諸国間の分断を助長する一因にもなりそうだ」と述べている。(了)
トップ写真:ドナルド・トランプ米大統領(2020年9月24日 ホワイトハウス) 出典:The White House
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