見せつけた大量殺戮兵器の進化 朝鮮労働党75周年閲兵式 その2
Japan In-depth / 2020年10月16日 12時0分
▲写真 SLBM Pukguksong(北極星)4型 出典:Rodong Sinmun
胴体が太く長さを短くしたのは、潜水艦に搭載しやすくしたものと見られる。しかし飛距離は伸びない。当初SLBMで日本海から米軍のグアム基地を狙える3000Kmまで距離を伸ばすと見られていたが、その狙いよりも韓国のレーダー網が機能しない裏側から星州に配置された終末高高度迎撃ミサイル「THAAD(サード)」を始め、米韓の基地を叩くことに焦点を当てたのではないかと思われる。そういった意味で北極星4型は韓国の米韓軍を狙って開発した可能性が高いと思われる。
▲写真 韓国THAADサイトを訪問するハリー・ハリス在韓米軍司令官 出典:在韓米軍 (Photo By: Staff Sgt. Jennifer Chance)
現在北朝鮮は、ロメオ級潜水艦を改良してSLBMを2~3発搭載できる3000トン級の潜水艦とSLBMを5~6発搭載できる5000トン級の新型潜水艦を建造中であるが、それらが完成すると潜水艦からの発射実験を行うと見られる。その時期は朝鮮労働党第8回大会前後だと予想される。
こうした新型ICBMや新型SLBMに合わせて目を引いたのは、移動式発射台だった。過去の発射台とは様変わりしていた。その形は中国のものと極めて似ていたところから見て、ミサイルの進化も発射台の進化も国連制裁を無視する中国の関与があったと見られる。
3)通常兵器の飛躍的進歩
通常兵器にも大きな進歩が見られた。偏心軌道のイスカンデル型短距離ミサイル、小型爆弾内臓で面攻撃を行うエイテキムス型ミサイル、4-6連装など300mmから600mm3種の超大型ロケット砲が公開された。
また米国のM1戦車および韓国軍のK1戦車とよく似た新型戦車、対戦車砲および対戦車ミサイルを搭載した米軍のストライカーによく似た装甲車、新型地対空ミサイル、改良型の「北朝鮮版パトリオット・ミサイル」などの新型通常兵器も一気に公開された。
兵士の装備も進化し、特殊部隊員は通信装備を備え、自動小銃も照準器付きで操作機能も改良され軽量化されていた。兵士のヘルメットや軍服も従来のものとは違い、軍服は戦闘で身を投げ出せるように、膝当てと肘当てが付けられている。
戦闘機などの航空機以外の通常兵器と兵士の装備は、5年前とは様変わりした武器体となっていた。
金正恩がトランプ大統領に「韓国軍は我々の相手ではない」と語ったと、ボブ・ウッドワードが著書「怒り」の中で記していたが、それを裏付ける進化を遂げていたのだ。通常兵器では韓国軍にかなわないとの固定観念は、捨てなければならないだろう。
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