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菅首相 東南アジア訪問光と影

Japan In-depth / 2020年10月25日 11時0分

こうした背景から南シナ海で、中国と領有権問題を抱えるベトナム。そして中国とは直接的な領土問題を抱えていないものの、南シナ海南端のインドネシア領ナツナ諸島北方海域の排他的経済水域(EEZ)に中国漁船、中国海警局公船が頻繁に侵入を繰り返すという問題を抱えるインドネシア。





▲画像 南シナ海におけるナツナ(Natuna)諸島の位置。IDはインドネシア、VNはベトナム、CNは中国。 出典:Hobe / Holger Behr



そしてなにより南シナ海からインド洋に抜ける海の要所であるマラッカ海峡を抱えるという地理的状況がインドネシアにはあるというように両国訪問には安保上の戦略的背景が存在した。





菅首相のベトナム訪問直前にはベトナム沖海域に中国海警局の公船が接近して調査活動をするなどベトナムを牽制する動きをみせていたことも南シナ海の権益問題で中国の「一歩も譲らない頑なな姿勢」の表れととらえられている。





■  中国「新たなNATOを構築」と反発





東京での日米豪印外相会合開催を受けて10月13日、中国の王毅外相は4カ国による「自由で開かれたインド太平洋構想」に対し「新たな北大西洋条約機構(NATO)を(インド太平洋地域に)構築しようとしている」と批判した。





▲写真 中国・王毅外相(2020年10月20日) 出典:中国外務省ホームページ



中国にしてみれば4カ国外相会合を受けて菅首相がベトナム、インドネシアを訪問し「インド太平洋構想」を持ちだして連携強化を求めたことで「NATO構築への懸念」をさらに深めたことは間違いないだろう。





こうした中国の批判を念頭に菅首相は21日、訪問先のジャカルタでの内外記者会見で「インド太平洋構想は特定の国を対象にしたものでもなく、インド太平洋版のNATOを作るつもりもない」との立場を明確にした。





その上で「南シナ海の緊張を高めるいかなる行為にも反対する」として直接の名指しを避けながらも中国に釘を刺した。





■  安保の枠組みに警戒感抱くインドネシア





今回の菅首相のベトナム、インドネシア訪問は外務省や同行した日本の大手メディアなどでは「大きな成果があり成功」との評価が高い。しかしそれはあくまで経済協力の分野でのことである。





特にASEAN域内でコロナ禍による最悪の感染者数、感染死者数を記録し続けているインドネシアには、コロナの影響が深刻な経済状況やそれに伴う各種の問題解決協力のため500億円の財政支援による円借款供与を表明した。





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