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みっともない政権支持派(下)再論・「正義」の危うさについて その5

Japan In-depth / 2020年11月3日 23時0分

これについて首相は当初、学術会議法が定めているのは、推薦された人を無条件で任命することではない、などと、木で鼻を括ったような答え方しかしなかったが、これが私の言う「驕り」の意味である。





任命拒否された6名とは、いずれも過去に安保法制や共謀罪の新設など、政府の施策に異を唱えた学者たちであり、要は政権の意に沿わない学者を排除しただけではないか、と多くの人が考えた。菅首相を応援している、と明言していた橋下徹・元大阪市長までもが





「残念なのは説明責任が果たされなかったこと」





と苦言を呈したほどだ。





その後、国会答弁では、





「総合的俯瞰的な判断によるもの」





などと意味不明なことを言ったかと思えば、





「旧帝大の出身者に偏りが見られるので、バランスをとる必要があると考えた」





などと、事実に合致しないことを口走ったり、醜態としか言いようがない。これでは支持率も下がろうというものだ。まあ、こんな問題しか追及できない野党もたいがいだが。





ところがネットの一部では、菅総理に対する「忖度」なのか、学術会議そのものを悪者に仕立てる傾向さえ見られる。いわく、





「日本に歯向かう学者たちに、なんで税金でいい思いをさせなくてはいけないのか」





「中国に協力する学術会議は国賊集団」





果ては、あの飯塚(幸三被告・シリーズその1を参照)もメンバーだったとか、なんの関係もない話まで持ち出される始末。





私がこうした人たちの言動を「みっともない」と断じるのは、あまりにも反知性主義的であるからだ。





たしかに学界の一部にも、学術会議はもはや不要、と考える人たちはいる。過去には政府に働きかけて多くの研究機関を新設したり、南極観測を推進するなどの功績があったが、科学技術庁(現在は文部省と統合し、文部科学省の一部)ができたことで、政府の諮問機関としての役割は縮小してしまった、というのがその理由で、決して「日本に歯向かう」学者がいるから、という話ではない。





さらに言えば、今さら政権応援団がそんな話を持ち出すのは、論点をずらして逃げを図ろうとする行為以外のなにものでもあるまい。誰かと論争して、自分たちに不利なデータを突きつけられると、幾度でも論点をずらして負けを認めようとしないのは、私の経験上、右寄りのネット民の常套手段である。





学術会議に毎年10億円もの予算が投じられていることを問題視する声もあるが、そもそもこれは、国際的な学術機関を維持運営するための分担金を含めた金額である。こういう国際的オツキアイに金を出すことは、立派に国益にかなうことだと、私は思う。右寄りの人たちには火に油を注ぐ話だろうが、たかだか戦車一両分の金額だ。





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