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勝者なき「大阪都構想」否決

Japan In-depth / 2020年11月4日 19時1分

大阪市民はと言えば、維新派と反維新派で分断されたままの状態で、決して喜ばしい状況ではない。府や市の職員の中にも、都構想賛成派・反対派、双方いるはずで、都構想が否決されたからといって、さあノーサイドで行きましょう、とはならないはず。気まずい雰囲気は残ったままだろう。そういう意味において、まさに今回の住民投票は「勝者不在」といえよう。





■ 傷んだ大阪経済





実は大阪はインバウンドの恩恵を一番受けていたといっても過言ではない。コロナ以前は。2019年までは市内のホテルは中国人や韓国人の観光客の予約でほぼ満室、出張でホテルを取るのも一苦労だった。





心斎橋筋に行けば、大量の中国人観光客がドラッグストアの化粧品や日用品でパンパンに詰まった袋を3つも4つも抱えて大型観光バスに乗り込むく光景が当たり前だった。マッサージ店までドラッグストアになってしまった、と地元の人が嘆いていた。しかし、彼らが大阪に大金を落としていたことはまごうことなき事実だったのだ。





▲写真 心斎橋のアーケード 出典:Luke Ma



それが、今年に入り、コロナで一気に閑古鳥が鳴く状況に。ホテルはガラガラ、部屋の単価は3分の1くらいにまで急降下、それでも空室が目立つ。Go Toトラベルが始まっても「あの頃」には戻らない。しかも、だ。インバウンドを当てこんで、ホテル開業ラッシュが始まったのだからたまらない。





ざっとみても、「大阪エクセルホテル阪急」(2019年11月1日開業:総客室数364室)や、「ホテル阪急レスパイア大阪」(2019年11月27日開業:総客室数1003室)、「ホテルロイヤルクラシック大阪」(2019年12月1日:総客室数150室)、「ザ ロイヤルパーク ホテル アイコニック 大阪御堂筋」(2020年3月16日開業:総客室数352室)など大型ホテルの建設が相次いでいる他、中型クラスのホテルも多数開業している。





2019年で新規開業ホテルが約40軒、総部屋数約1万室、2020年の新規開業ホテルは約36軒、総客室数約9000室を予定している。2018年にも約50軒、総客室数約9000室が開業している。つまり、この3年間でなんと、新規に約120軒、総客室数約30000室が増加するのだ。そして2021年以降も新規開業が予定されている。





▲写真 ホテル阪急レスパイア大阪 出典:阪急ホテルズ



新型コロナによる訪日外国人旅行客がいつもとに戻るか見通せない中、彼ら頼みだった経済圏を根底から変えねばならない。国内の需要をどう取り込むか、原点に戻る必要がある。Go Toキャンペーンも所詮は一過性のもの。頼みの綱が2025年の万博だけではいかにも心もとない。





行政がやるべきことは多い。二重行政の解消、行政のムダ削減には、もちろんこれからも不断の努力で取り組まねばならないが、まずは傷んだ大阪経済をどう立て直すかだろう。





筆者は大阪の中小企業経営者の話を聞く機会が多いが、彼らのチャレンジングスピリットには目を見張るものがある。コロナ禍に負けず、ウィズコロナ時代を睨んで新たなビジネスモデルを再構築しようと日夜奮闘している。その一人が私にこう話してくれたのが印象的だった。





「これまでもずっとコロナだったようなもんやから、日々変わる環境に合わせてやっていくしかない」。





これが大阪の真の強さだろう。インバウンド頼みからの脱却や、地域経済、特に中小企業の再活性化が待ったなしだ。その為に、大阪の全ての関係者は、遺恨を棄てて一枚岩になるべきだ。





トップ写真:会見する吉村洋文大阪府知事と松井一郎大阪市長 出典:大阪維新の会公式Twitter




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