人権侵害制裁法制定に前進
Japan In-depth / 2020年11月12日 11時11分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・人権侵害に対し制裁を科す「日本版マグニツキー法」制定の動き、超党派で。
・香港での民主派に対する人権侵害が念頭にある。
・与野党各々協議し、年明け通常国会での成立目指す。
「マグニツキー法」という法律をご存知だろうか?もし聞いたことがあるなら、かなりの「人権問題」通だ。今、そのマグニツキー法の日本版を作ろうという気運が、超党派議員の間で高まっている。
この「マグニツキー法」、どういう法律かというと、「人権侵害を行った個人・団体を制裁対象とし、ビザ規制や資産凍結などを行う経済制裁法」である。
法律の名前となったセルゲイ・マグニツキー氏とは、ロシアの弁護士で、同国税務当局を巡る巨額横領事件を告発後、拘留され、37歳の若さで獄中死した人物だ。
▲写真 セルゲイ・マグニツキー氏 出典:VOA
この事件の後2012年、アメリカで関係者の資産凍結などを行う「マグニツキー法」が制定された。同様な法律は、既にイギリス、カナダ、エストニア、リトアニア、ラトビア、ジブラルタル(英)、ジャージー(英)、コソボ共和国などが制定済みとなっている。さらに、オーストラリアや、EUも制定に向けて検討を開始している。
では、何故今「日本版マグニツキー法」の制定が急がれているのか。理由は言わずと知れた、香港における人権侵害だ。
▲写真 逃亡犯引き渡し条例に抗議する香港市民 2019年6月 出典:flickr:Studio Incendo
これまでもJapan In-depthは、民主派が大勝した2018年の香港区議会選挙を現地で取材したり(参考記事:「対中政策で超党派銀連盟発足」「香港、民主派逮捕相次ぐ 国会議員ら抗議の緊急会見」)、民主活動家である周庭(アグネス・チョウ)氏をJapan In-depthチャンネル「ローズ・アイ」に招いたりしてきた。
▲写真 香港民主活動家周庭(Agnes Chow)氏 出典:Honcques Laus
その後2020年夏に香港で「国家安全法」が成立、民主派議員の資格はく奪や、民主活動家の逮捕などが相次いでいる。彼らに対する人権侵害は激しくなる一方で、日本でも、香港、そして中国当局に対する批判が高まっていた。
11月9日、国会内で開催された「対中政策に関する国会議員連盟(Japanese Parliamentary Association on China:JPAC)の第3回会合では、「日本版マグニツキ―法」制定に向け、担当省庁からヒアリングを行った。すなわち、現行法上どのような制裁を課すことができるのか、についてだ。
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