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フィリピン、迫るテロの危機

Japan In-depth / 2020年11月16日 18時54分

フィリピン、迫るテロの危機




大塚智彦(フリージャーナリスト)





「大塚智彦の東南アジア万華鏡」





【まとめ】





・比、治安部隊とテロ組織の銃撃戦が発生、テロリスト6人殺害。





・テロ組織「アブ・サヤフ」も海上での追撃作戦で7名が死亡。





・ドゥテルテ政権、疲弊する地方住民への支援も求められている。









フィリピン治安当局は国内のテロ組織に対する掃討・殲滅作戦を現在も継続中で、テロリストの拠点や隠れ家の摘発と同時にテロリストとの銃撃戦で殺害、逮捕を鋭意続けている。





フィリピンでは最近相次ぐ台風の影響で洪水や土砂崩れで多数の死傷者が出ているが、特にフィリピン南部ではイスラム教テロ組織が複数存在して現在もなお活発な活動を続けており、治安部隊との銃撃戦がこのところ頻発し、フィリピン国民にとっては台風やコロナ禍に加えて「テロ」がまさに日常生活の中で「今ここにある危機」として厳然と存在している。





フィリピン中央軍統合任務部隊などが地元メディアに明らかにしたところによると11月13日、南部ミンダナオ島南コタバト州のポロモロックで治安部隊とテロ組織のメンバーによる銃撃戦が発生、テロリスト6人が殺害された。





■イスラム国関連のテロリスト射殺





発表によると殺害されたのは中東のテロ組織「イスラム国(IS)」のフィリピン組織である「ダウラ・イスラミア」のメンバーで、殺害者の中には同組織幹部のアラファト・ブラカン(別名マウラ)容疑者が含まれていたという。





ブラカン容疑者は2018年に同じミンダナオ島南コタバト州最南部のジェネラル・サントス市で起きたテロ事件(8人負傷)に関与したとして手配されていたほか、同地域の主に農民を対象にしたテロ組織への勧誘、軍事訓練強制参加などにも関与した疑いがもたれ、治安当局がその行方を執拗に追いかけていた重要容疑者だったという。





13日の銃撃戦で6人が殺害された現場の家屋からは改良型爆弾のほかにM4ライフル銃、ショットガン、38口径リボルバー、AR5拳銃、ISの旗などが押収されており、メンバーらがなんらかのテロを近く計画していた可能性もあるとして地元警察なども加わってさらなる捜査が進められている。





治安当局は11月初めにブラカン容疑者の側近を銃撃戦で殺害していることなどから、同容疑者を周辺から徐々に追い詰めていたものとみられている。





フィリピン中央軍統合任務部隊のジェジマックス・ウイ少将は地元メディアに対して「今回の掃討作戦は地域のコミュニティーの協力で実現した。この地方にもはやテロリストの居場所はない」として摘発に関して民間の住民らによる情報提供もあったことを示唆、テロリストが住民からも敵視されていることを強調した。





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