米大統領選、世論調査こそ敗者
Japan In-depth / 2020年11月17日 11時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・事前の世論調査は大きく外れ、「敗者」「大失態」との指摘も。
・トランプ氏は黒人、ヒスパニック、アジア系でも得票率伸ばす。
・大メディアと世論調査機関の「複合体」のあり方は深刻な課題。
アメリカの大統領選挙もやっと投票と開票が終わった。「やっと」とあえて書くのは、これまでの山あり、谷ありのプロセスがあまりに長かったからである。単に長いだけでなく、波乱万丈、劇的な激しい攻防がこれでもか、これでもか、と続いてきた。民主主義とはあまりに疲れる政治の定型なのだろうか。
とにかくドナルド・トランプという異端の人物を中心に展開する異様な政治展開のうねりに、これまたさらに異様な中国発の新型コロナウイルスの大感染という緊急事態がからみあっての選挙キャンペーンだったのである。
さてこの選挙戦は民主党のジョセフ・バイデン前副大統領が勝利を確実にしたようである。
ここでもあえて「ようである」と余韻を持たせた記述をあえて使うのは、トランプ大統領がまだ敗北を認めず、選挙自体に不正があるという訴訟を起こしているからだ。厳密にみれば、最終の結果は確定はしていない。
そのうえに、アメリカの憲法や選挙関連の法律に基づく正規の手続きのうえでも、次期大統領がバイデン氏になるという公式の確定はまだである。その究極の最終期限は来年1月6日の連邦議会の合同会議開催時なのだ。
▲写真 バイデン前副大統領(2020年10月22日) 出典:Joe Biden facebook
さてそんな流れを踏まえたうえで、今回の大統領選挙を眺めると、そこに浮かぶ課題、問題、教訓、挑戦、欠陥などは山のようにある。そのそれぞれがこんごの検証や反省の対象である。
だがここではまず選挙の行方を占ってきた世論調査について考察しよう。
この選挙では結果を展望する最大指針ともされた事前の世論調査がまた大きく的を外した。
選挙戦ではバイデン候補の圧倒的優位を調査機関が発表し、民主党支持の大手メディアがその優位を強調するというパターンが一貫して続いた。だが開票ではトランプ大統領が予想外に多くの票を集め、史上でも稀な大接戦となった。
開票後の回顧ではこの世論調査こそこんどの選挙での最大の敗者だったのだとする総括がまじめに語られるようになった。
たとえばワシントンを舞台とする政治専門新聞の『ヒル』は「この選挙戦での最大の敗者は世論調査機関だ」という見出しの巻頭論文を掲載した。その他のメディアや専門家の反省をもこめた同趣旨の総括がいっせいに広まった。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
トランプ氏暗殺未遂と民主党側の攻撃言語
Japan In-depth / 2024年9月18日 18時0分
-
米大統領選 世論調査の信頼度とは
Japan In-depth / 2024年9月16日 11時0分
-
激戦のアメリカ大統領選、ハリス氏とトランプ氏のどちらが勝つ可能性が高いのか? 両者が抱える問題、経済不満がハリス氏に逆風、トランプ氏は発言で自滅も
47NEWS / 2024年9月12日 11時0分
-
【インタビュー】「民主党は労働者の党に戻れ...」サンダースがハリスに示す勝利への道筋
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月6日 13時40分
-
ケネディ氏のトランプ支持の衝撃
Japan In-depth / 2024年8月24日 23時0分
ランキング
-
1好みの女子大生を尾行、袋かぶせ首絞める 39歳会社員逮捕
産経ニュース / 2024年9月21日 10時33分
-
2石川などで4800戸停電、ライフラインに大きな影響…林官房長官「災害応急対策に全力」
読売新聞 / 2024年9月21日 15時4分
-
3西、東日本は猛暑収まるも蒸し暑い 北日本は肌寒い一日
ウェザーニュース / 2024年9月21日 7時10分
-
4石川県輪島市・珠洲市・能登町に大雨特別警報…「数十年に一度の重大な災害の危険」直ちに身の安全確保を
読売新聞 / 2024年9月21日 11時6分
-
5「我慢の限界」高台寺岡林院、マナー悪化に注意喚起 客連れカメラマンが強行撮影...欄干壊れる被害も
J-CASTニュース / 2024年9月21日 7時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください