印RCEP不参加、中国に対抗
Japan In-depth / 2020年11月20日 18時15分
当時モディ首相も「国内のサービス業に携わる労働者や農業従事者を保護するために決めた措置である」としてあくまでインド国内の産業、労働者保護が理由であるとの立場を示していた。
ただ、その後の展開などをみていると、インドは交渉の初期段階ではASEANに加えて日韓、オーストラリアが参加していることでRCEP参加メンバーの中でそれなりのリーダーシップをとれると期待していた節がある。
それはインドが抱える人口、マーケット、経済規模などで十分に中国と双璧としての立場を担えるとの観測があったからだと分析されている。
▲写真 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する各国首脳の集い(2010) 出典:Flickr; Gobierno de Chile
■RCEP交渉で主導権握る中国への反発
ところが2013年の第1回RCE会合から中国が主導権を握る動きをみせはじめ、各作業部会を仕切ろうとする中国の姿勢がインドやASEAN内の親中国カンボジア、ラオスなど以外のメンバーの警戒感が強まったという。
その後交渉は中国への警戒感から順調には進まず2017年までほぼ進展はみられない状況となった。
この間に逆に交渉が進んで調印に漕ぎつけたのが「11カ国による環太平洋パートナーシップ協定(TPP11)」だった。このTPP11 には米は参加していた(2016年の調印後、トランプ米大統領が2017年1月に離脱表明)が、中国はもともと参加していない。
こうした流れが中国をRCEPの早期調印にかき立てなんとしても主導権を握りたいとの姿勢に向かせたのは間違いないといわれている。
そうした中国の自国優先しての主導権に次第に嫌気がさしていたのが共に主導権を分かち合いたいと意図していたインドで、交渉が進むにつれ中国への反発、嫌悪感が現実のものとして膨らみ、交渉離脱を決意するに至ったというのだ。
■領土問題での衝突で死者も 6月
インドはそうでなくても中国との間ではカシミール地方を巡って歴史的に領土問題を抱えており、安全保障の分野でも中国とは「対立関係」にある。こうした歴史的背景、安保問題もRCEP交渉離脱の一因にあるとの見方も有力だ。
実際には今年6月にヒマラヤ山脈地帯のガルワン渓谷でインド、中国の軍隊が直接衝突してインド兵20人が死亡する事態も起きている。この時インド国内では中国国旗を燃やす市民の映像が流れ、インド国民の間に反中が根強く残っていることを内外に印象付けた。
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