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米大統領選挙、実は当然の結果(下)コロナに敗れたポピュリズム その3

Japan In-depth / 2020年11月20日 23時0分

この報道が流れるや否や、これまでトランプ大統領に対する応援一色だった日本の右派サイトが、急にバイデン次期大統領への個人攻撃を繰り返すようになってきたのである。





バイデン氏に「認知症疑惑」ありとして、彼が「核のボタンを押す恐怖」などと発信した人までいる。ちなみに、結構有名なサイトだ。どうせネタだろうが、万が一、





「核のボタンと言うからには、大統領がボタンをぽちっと押したら、即座に核ミサイルが発射されるようになっているに違いない」





と信じているのであれば、ご自身がまず、医師の診断を受けることをお勧めする。





……他にもあるが、いちいち取り合っていてはきりがない。





米国の新政権と、日本はどう向き合って行けばよいのかは、新年特大号のテーマとさせていただこう。乞うご期待。





世界の憲政史上、もっとも往生際の悪い「権力者」のせいで、あらぬ話題で紙数を費やしてしまった。(上)(下)を読まれた方の中には、コロナに敗れたポピュリズムというタイトルに違和感を覚えたという方も、おられるかも知れない。





話の順序として、ひとまず2016年の選挙を振り返らなくてはならない。





すでに述べたことだが、この選挙に際して、世論調査ではヒラリー候補が優勢とされており、また実際の結果も、得票率・得票総数ともにトランプ候補を上回っていた。





▲写真 ヒラリー・クリントン氏(2016年3月21日 米・アリゾナ州) 出典:flickr; Gage Skidmore



にもかかわらずトランプ大統領が誕生したのは、選挙人制度という特異なシステムの賜物であったが、しかしながら、それが全てだと断ずることもできないだろう。





「アメリカファースト」という彼のスローガンは、日本でも有名になったが、そこには、グローバリズムの弊害から米国の労働者層を救済する、との意味が込められていた。





日本も含め、先進国では共通して見られる現象だが、製造業が、地代や人件費の安い途上国に生産拠点を移していった結果、自国の労働者は。より安い賃金で働く人たちとの競争にさらされ、実質賃金がどんどん目減りしていった。





この事実は、2016年の選挙において、激戦州と呼ばれる地域だけでなく、北東部のラストベルトでもトランプ候補が勝利を重ねる、という結果に結びついた。ラストとは錆のことで、製造業が衰退した結果、錆びついた工作機械だけが残り、失業率が上がり続けていた地域が、こう呼ばれた。かつて自動車産業の中心地であった、デトロイトなどが典型だとされる。労働者の街で、歴史的に民主党の地盤だが、ここを切り崩したのだ。





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