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大阪都構想、挫折の理由(上)コロナに敗れたポピュリズム その4

Japan In-depth / 2020年11月28日 23時0分

この大阪維新の会は、後に国政に進出し、現在も衆参両院に議席を持っているが、日本維新の会とか維新の党、などと名称が変遷した上、他党との離合集散も繰り返され、非常にややこしい来歴となっている。本題と関係ない話題で紙数を割きたくもないので、この系統の政党については、以下「維新」の呼称で統一させていただく。





いずれにせよ、にわかに全国的な注目の的となったのは、2011年、当時の大阪市長の任期が満了することとなっていたが、これに際して橋下府知事が任期を3カ月残して辞職し、市長選挙に鞍替え出馬すると発表して以降である。





その後の経緯はよく知られる通りで、維新の松井一郎幹事長が府知事選に立候補し、市長選・府知事選のダブル選挙となった。投開票は同年11月27日のことで、いずれも都構想推進を掲げた維新の候補=橋下・松井両氏が、反対派の候補を大差で破る結果となり、現在に至る「維新の大阪政権」が誕生した。





もともと、大阪府は都道府県の中では日本一狭かったのだが、関西国際空港の建設など、大阪湾における大規模埋め立て工事が繰り返された結果、わずかながら香川県の面積を追い抜いた。





つまり、今でも日本で二番目に狭いわけだが、この狭い区域に、府立と市立施設が立ち並び、住民の声など聞くこともなく、莫大な税金が投じられるという事態が続いていた。これを称して「府市合わせ」と言う。不幸せにかけた駄洒落と思われるが、これは蛇足。





その最たる例が、りんくうゲートタワービル(大阪府)とワールドトレードセンタービル(大阪市)であるが、なんと10cm単位で高さを競い合って建てたものの、いずれも商業施設としては大失敗で、売却する羽目になった。これはほんの一例で、無駄に終わった投資の総額は1兆6000億円以上にもなるそうだ(維新のサイトより抜粋)。





▲写真 左は「りんくうゲートタワービル」(泉佐野市)、右は「ワールドトレードセンタービル」(大阪市)



こうした「府市合わせ」の弊害は、かなり以前から指摘されており、だからこそ大阪都構想が提起されたのも、これが初めてではなかったわけだが、ならば、どうして一度ならず二度までも住民投票で否決されることとなったのか。





もちろん理由は単一ではないが、見逃してはならないのは、政治のパラドクスと言うべきか、二重行政の解消を訴える政党が知事選と市長選のダブル選挙を制したことにより、期せずして「府市合わせ」が消滅していったことである。





▲写真 松井大阪市長(左)と吉村大阪府知事(右) 出典:大阪維新の会facebook



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