仏の暴徒「ブラック・ブロック」
Japan In-depth / 2020年11月30日 23時2分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランスUlala の視点」
【まとめ】
・仏、グローバルセキュリティー法案に反対する大規模デモが各地で開催。
・政府は警官保護の観点から、顔の撮影を禁じる法案の成立を目指す。
・デモに現れ暴行を働く「ブラック・ブロック」がさらに問題化。
フランスでは新型コロナウイルスの感染状況がピークをすぎたことを受け、段階的な外出禁止の緩和が始まった。11月28日からは生活必需品以外の販売が再開されたため、その日はクリスマス用品などを探す人々が買い物を楽しみ、およそ1か月ぶりに街がにぎわったのだ。
しかし、買い物客がその華やかで幸福な時間送っていた同じ日に、パリをはじめとする全国各地でグローバルセキュリティー法案に反対する大規模なデモが開催された。そして、残念ながらそのデモは最後には暴徒化し、車や銀行への放火や破壊、警察の治安部隊への暴行にいたり、治安部隊62人が負傷し、デモ参加者の81人が拘束されるという結果を迎えた。
警察の暴力の表面化
ここ最近のフランス情勢を象徴する言葉といえは「暴力」であろう。立て続けに警察の暴力が問題になっている。一週間前にパリ郊外の広場を移民労働者が不法占拠した際にも、警察の治安部隊による暴力が問題になったばかりだ。
また、その数日後には音楽プロデューサーの黒人男性が警察官4人から暴行された事件が発覚。提供された動画では、「汚い黒人」と叫びながら被害者の顔面を少なくとも7発も殴りつけている姿が確認できる。このように度重なる警察による暴力が明るみにでる中、マクロン大統領は「暴力と人種差別は許されない」と非難し、政府に原因究明に取り組むよう指示。そして、警官も国民も模範的な行動をとるように呼びかけている。
グローバルセキュリティー法案とは?
警察の暴力は以前からあった問題ではあったが、これらの警察暴力が最近のように表面化してきた理由は、多くの人が携帯電話などで昔よりも手軽に動画を撮影できるようになったからである。それまでは今回の黒人男性の事件のように、虚偽の報告書が書かれている場合もあり、隠蔽されていてもその証拠がなかった。手軽に動画がとれるようになったことは、暴力を受けた被害者にとって大きな味方になったと言えるだろう。
しかしながら手軽に撮影できるようになったことによる弊害として、警官のプライバシーがネットで拡散され、警官がプライベートな時間に攻撃を受ける事件が増加したのだ。そこで、政府は警官の身を守るためにも、顔などの撮影を禁じる法案の成立を目指しているのである。
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