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イージス・アショア問題の根源

Japan In-depth / 2020年12月3日 11時0分

米国はニュージャージー州モアーズタウンにCSEDS(Combat System Engineering Development Site)というイージスシステムのテストセンターを有している。米海軍のイージスシステムの構成品及び接続システムは全てこの施設で試験をされ、その試験に合格する必要があるが、SPY-7はその試験を経ていない。





そもそもSPY7はイージスシステム搭載艦艇のためのレーダーではなく地上配備型ミッドコース防衛対弾道ミサイルシステム用として開発されたものであり、SPY7はその試験を経ていない。米海軍が採用していないSPY7を採用した場合には当然、日本独自のイージスシステムを作ることになり、巨額な試験費用やソフトウェア維持管理費用の負担が必要になる。また定期的に行われる能力向上のアップデートについても自前で負担して、相当の費用がかかる。





▲写真 CSEDS(米ニュージャージー州モアーズタウン) 出典:Boevaya mashina



対してSPY6は既に米海軍の要求性能を満たすためにハワイで弾道ミサイルと巡航ミサイルの同時探知・追尾の試験を実施し、成功している。計15回に及ぶ試験費用は15(約1,600億円)とされる。先述のようにSPY6は、米海軍が次期イージス艦用に採用したレーダーで、試験費用は米政府が負担する。SPY7に関してはそのような費用は我が国が負担することとなる。





またSPY6は米海軍のイージス艦への採用が決まっており、これを採用すれば米海軍との相互運用性の確保が可能である。また米海軍が大量に採用するため開発費やコンポーネントのコストも低減できるだろう。更に申せば大変厳しい米国の会計検査院の監視や、米議会の監視もあるのでコストの低減は抑えられるだろう。ところがSPY7の場合はそのような監視が付かないのでメーカーの言い値で払うことになる。





更に申せば海上自衛隊には海上自衛隊が保有する艦艇の戦闘指揮システムの維持管理のために艦艇開発隊に各システムのテストサイトが存在する。これは建設に約100億円かかっているが、SPY7を採用するならば同様の施設の建設も必要となる。





防衛省の試算によるとアショア用のSPY7をイージス艦に転用する場合4,800億~5,000億円超となった。これはかなり控えめだと思うが、現用のイージス艦の2倍以上のコストとなる。おそらくはSPY6を採用したイージス艦に比べて調達コストは2倍、維持運用費用も相当高くなるだろう。海自がSPY7を次世代のイージス艦に採用した場合、海上自衛隊の予算を相当圧迫することになる。





はじめに述べたように、法的に不可能でアセスメントもしない状態で、設置場所まで決めて性急にSPY7の採用を決定、「お手つき発注」をしたことが根源的な問題だ。誰がどのようにこのような杜撰かつ異常な計画を立てたのか、それを明らかにして責任を問う必要がある。





筆者は行政の透明性のためには、不透明な経緯で調達されたSPY7は違約金がかかっても契約をキャンセルすべきだと考える。それをしなければ同じようなことが「やり得」となって、満州事変のような独断専行が繰り返されることとなるだろう。





トップ写真:イージス・アショア(ハワイ・カウアイ島) 出典:ロッキード・マーチン社




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