アメリカ記者、究極の政治偏向
Japan In-depth / 2020年12月5日 7時0分
その論評の内容はやはりトランプ大統領にきわめて批判的、バイデン前副大統領を礼賛する基調で一貫していたが、11月7日のバイデン氏の勝利宣言演説の翌日の同8日のテレビ番組ではその自分が草稿を書いた同演説について「格調が高い」とか「アメリカ国民の魂を揺さぶる」などと激賞していたという。
ミーチャム氏のこうした欺瞞に対して同じバイデン候補を支持したニューヨーク・タイムズもその報道で「許し難い倫理違反だ」と非難していた。保守系のFOXテレビは「最も深刻な問題はMSNBC自体が知らなかったとはいえ、大統領選挙の公平であるべき報道や評論で一方の陣営の中心人物の意見を中立な立場からの見解として長期間、放映し続けたことだ」と批判した。
ミーチャム氏は現在51歳、1990年代からニュース週刊誌のニューズウィークの記者、編集者を務め、2005年には同誌の編集主幹となった。ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストへの寄稿も多かった。アメリカの過去の大統領の人物研究にも取り組み、アンドリュー・ジャクソン大統領の伝記を書き、2009年にはピューリッツアー賞をも受賞した。ここ数年はMSNBCの専門の記者、解説者としてニュースの報道と評論にあたってきた。
こうしたベテラン記者までが政治活動家という裏の顔を隠してジャーナリスト活動を続けてきて、その秘密が発覚したことはいまのアメリカのニュースメディアやジャーナリズム全体がいかに政治的な党派の争いの当事者となり、客観性を失っていることの例証だといえよう。
***この記事は日本戦略研究フォーラムの古森義久氏の連載コラム「内外抗論」からの転載です
トップ写真:ジョン・ミーチャム氏(2016) 出典:Flickr; Gage Skidmore
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