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官主導携帯値下げで寡占化へ

Japan In-depth / 2020年12月10日 23時46分

官主導携帯値下げで寡占化へ




石井正(時事総合研究所客員研究員)





「石井正の経済掘り下げ」





【まとめ】





・auやSBより低料金のドコモ「アハモ」に「官製競争」の批判。





・楽天や他の格安スマホは厳しい戦い強いられ、淘汰が現実味。





・携帯市場の寡占化が進む恐れ。政府の狙いと逆行の可能性も。









菅義偉首相率いる新政権は、前政権との違いを際立たせるために「国民生活」重視という独自色を打ち出している。中でも象徴的なのが携帯電話料金の引き下げ。菅首相が総務相時代から取り組む政策課題だけに、力の入れようは相当なものだ。





切り込み隊長を任された自民党内きっての武闘派・武田良太総務相は、携帯大手各社を脅したりすかしたりしながら値下げを迫り続けている。





▲写真 武田総務相(2020年11月19日) 出典:総務省 facebook



大手3社のうち、先行したのはKDDIとソフトバンク。10月末にこの2社は、総務省が携帯値下げに向けた行動計画を公表した翌日に新たな低料金プランを発表した。このため、一部からは「出来レースではないのか」との声も上がるほど間髪入れぬ鮮やかな対応だった。そのせいか、武田総務相も、「しっかり対応した」と評価する発言をしたほどだった。





ところが、武田総務相は11月20日、その2社の低料金プランについての評価を一転させ、「多くの人が契約するメインブランドでは全く新しいプランが発表されておらず、問題だ」と厳しく指弾した。2社の低料金プランは、格安ブランドで、データ通信量20ギガバイト(GB)の大容量プランを割安にする内容だった。このため、武田総務相は「形だけ割安なプランとしただけでは意味がない」と批判したわけだ。





これに呼応したかのようにNTTドコモが12月入りと同時に、通信容量20ギガバイトの割安料金プラン「アハモ」を、来年3月から月額2980円(税別)で提供すると発表した。関係者も驚く内容の料金引き下げ案だった。





既に割安プランを発表したKDDI(au)とソフトバンクよりも低料金となり、携帯各社の値下げ競争は過熱することになった。





ドコモの新プランは20代を主なターゲットとし、実店舗ではなく、オンラインでのみ申し込みを受け付ける。1回当たり5分以内の国内通話も含まれる。





ドコモのシェアは2000年代半ばまでは5割超だった。しかし、KDDI(au)やソフトバンクの攻勢でシェアは低下、首位は維持しながらも37%まで低下し、収益ではKDDI、ソフトバンクに次いで最下位に落ち込んでいる。





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