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官主導携帯値下げで寡占化へ

Japan In-depth / 2020年12月10日 23時46分

そこでドコモは、12月末にNTTの完全子会社になることを契機に、これまで少数株主に流出していた配当金などの資金を原資にして、「攻めの値下げ」に出たというわけだ。さらに、豊富な資金力を背景に、研究開発でもNTTとの連携を深め、競争力を高めようとしている。





NTTの株主構成を見ると、政府・地方公共団体が32.36%(9月末現在)で他を圧している。このため、他の2社に比べると官色が強い。このため、今回のドコモの仕掛けについて業界関係者は、菅首相と官界の字を引っ掛けて「菅の菅による菅のための値下げ」と犬の遠吠えのように揶揄(やゆ)している。





併せて、「官製の競争。それもいびつな競争だ」とも業界関係者は批判している。NTTグループの体力・資金力で行けば、「2980円」はできない相談ではなく、他の大手2社どころか、格安スマホ会社つぶしさえ狙った官主導の作戦ではないかとさえ見ているのだ。





ドコモの「2980円」は、価格競争で先行していた感もあった楽天と同水準の価格。これでは、基地局の数などで劣後する楽天は厳しい戦いに追い込まれる。さらに、他社の回線を借りて展開している格安スマホ会社はなお厳しく、淘汰される恐れが現実味を帯びてくる。このため、「菅による値下げ」で淘汰が進み、市場活性化による価格競争で利用者に恩恵を行き渡らせるという政府が本来狙っていた作戦に逆行する可能性が強まっている。





▲写真 菅義偉首相。携帯電話料金引き下げを目指すが、その狙いと逆行する可能性も。 出典:首相官邸 facebook



KDDIは格安ブランド「UQモバイル」で来年2月をめどに月額3980円(税抜き)のプランを発表、ソフトバンクも格安の「ワイモバイル」で12月下旬から、1回10分までの通話代込みで4480円(同)のプランを導入することにした。7000円台半ばとなっているauやソフトバンクの大容量プランより4割以上安くなるため、総務相も当初は評価したわけだ。





しかし、ドコモの2980円「アハモ」がベールを脱いだため、新たに対抗戦術の展開を余儀なくされている。ただ、経営体力では見劣りする2社がどこまで対抗できるか見通し難で、携帯市場の寡占化が進行する恐れは強まりそうな気配だ。





(了)





トップ画像:NTTドコモの低料金プラン「アハモ」の発表記者会見(2020年12月3日) 出典:NTTドコモ公式ツイッターより




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