仏、SNSで人生狂わせた少女
Japan In-depth / 2020年12月13日 23時0分
■ 現在も生活に影響を受けるミラさん
その後、ミラさんは住んでいる場所を変え、名前を変えて生活していたが、11月になんと再び彼女の動画が炎上し脅迫をうけることになった。送られてきたコメントには、「サミュエル・パティのようになりたいのか」、とパティ氏の切り取られた首の写真をミラさんの顔に加工された画像が添付されていた。この時はミラさんは、「ただ静かに生活したいだけ」と問題の動画を削除し、代わりにその動画で傷ついた人への謝罪の動画をアップした。
しかしミラさんはネットでの活動はやめなかった。Twitter、Facebook、そして動画のライブ配信と、活発に活動を続けていったのだ。だがまた今月12月に問題を起こした。1月の事件後、安全な高校生活が送れなくなったミラさんは、政府の口利きで寮に入り秘密裏に防衛高校に通っていた。だが、なんとミラさん、今回はその高校の名前を「約20人」が見ているライブ配信で公表したのだ。さすがにこれは軽率にもほどがある。
その結果、高校側はパティさんの時のように脅迫者が高校にやってくる危険性を危惧し、750人の生徒を危険から守るために、ミラさんに高校の寮から一時的に安全な環境に移ってもらいオンライン授業を受けるよう提案した。しかしながら、その処置に腹を立てたミラさんの両親は、「学校が娘をまた排除した」と抗議の手紙を送った。フランスの法律に違反していない側が、脅迫してくる違法な攻撃者に屈して排除されることになるのだ。両親は、高校を「臆病者」と非難した。
これを受け、高校側もこの処置は沈静するまでの一時的なものであるという声明を出し、政府のスポークスマンであるガブリエル・アタル氏もメディアから質問を受け、学校からは排除されておらず、隔離は安全のための一時的な措置であることを強調。「共和国の責任として保護します。そして、別の解決策を見つけるために彼女に寄り添っていきます。」と、政府はミラさんを守ると述べたのだ。
だが、事件が完全には収束したわけではない。現在17歳になったミラさん、今後どうなっていくのだろうか。このまま一生隠れて生活していくわけにもいかない。普通の高校生活も送れない状況で先行きの不安が募るばかりだ。2020年のイスラム教に関する事件は「ミラ事件」から始まり、「ミラ事件」で終わろうとしているが、「ミラ事件」は、現代社会の問題にイスラム教が絡むことで、事態がさらに複雑化するフランスの苦悩が見える事件ともなった。
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