カルトと化したトランプ支持派 ネット規制の危機 その1
Japan In-depth / 2020年12月19日 14時7分
それで思い出したが、くだんの宗教団体の教祖は、とっくにこの世ににいない歴史上の有名人と自在に会話ができるのだそうで、そうした「対談本」を売りまくって儲けている。商売繁盛は同慶の至りではあるが、やはり「類は友を呼ぶ」ということなのか。
TVなどマスメディアは偏向報道ばかりなので、ネットの反共サイトの情報しか信じられない、という人たちに、ちょっと考えてもらいたい。
もし、仮に、そうしたサイトが主張するように、米国民主党から日米のマスメディア、さらにはかの国の選挙関係者から連邦最高裁まで、中国共産党など「闇の勢力」の支配下にあるのだとしよう。
ならばどうして、2016年の選挙でトランプ候補が当選できたのか。
前シリーズの最初に述べたように、この選挙では、ヒラリー・クリントン候補が、得票率・票数ともにトランプ候補を上回っていた。それでどうして、彼女は「不正選挙だ」などと言わず、いさぎよく敗北宣言をしたのか、という疑問にも答えていただきたい。
さらに言えば「1000万単位の不正投票」が事実であるなら、大統領選挙と並行して行われた上下両院の選挙における民主党の予想外なまでの苦戦は、どう説明するのか。
それとも、この4年間で、中国共産党の影響力が、大統領選挙を左右するところまで増大したのか。だとするなら、トランプ大統領は中国の脅威に対して、まるっきり無能だったという結論にしかならないが(今度こそ笑)。
以上を要するに、バイデン氏の当選は中国共産党の陰謀だなどという言説は、なにかに取り憑かれた人の妄想か、意図的なデマか、あるいはその両方だと断言できる。
問題は、日本においてトランプ陣営に肩入れする人が、どうしてこれほど大勢現れたのか、ということである。
海外の政治家が日本でも人気を博すことは割とよくあるが、今次の「トランプ人気」は、ジャーナリズムで決して短くはない経験を積んできた私にも、いささか奇妙に思える。
理由のひとつは、前述のように某宗教団体の影がちらついて見えることだが、それが「理由のすべてだと断じるのも危険だろう。やはり、ネット社会特有の「世論」を形成するメカニズムが存在するのではないか。その考察は、次回。
(続く)
トップ写真:トランプサポーター 出典:Flickr; Gage Skidmore
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